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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
赤い閃光
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分の後方に飛ばした。

同時に、ベルトに設置されたカブトゼクターに右手を移動させた。

【One】【Two】【Three】

カブトゼクターの上部にある3つのスイッチを順番に押し、ゼクターホーンクリサリスフォーム時の位置に戻した。

不意に、ホーンを再び右に引く。

【Quick Charge】

電子音声が流れ、ゼクターを伝って右足に稲妻が集束された。腕を振りかぶりながら背後まで迫っていたマンティスの横顔にカウンターキックを喰らわせた。

「ハァ!」

カブトの右足がマンティスの横顔に食い込んでいき、鈍い音が周囲に響き渡る。

「グァァァ!!」

《クリムゾン・ディメンション》に耐えきれず、メタヴァーミンは今にも爆散しそうになる。しかし、その間際(まぎわ)(しゃが)れた声で囁いた。

「この……人殺し野郎が」

くくっ、と笑い。

マンティス・ヴァーミン/クラディールは、その全存在を爆発の炎へと変えた。ドカアァァン!と爆裂(ばくれつ)霧散(むさん)する圧力に押されても、俺はよろけることなく立ち尽くしていた。

痺れ切った意識に、しばしフィールドを吹き渡る風の音だけが響いていた。

やがて、不規則に砂利を踏む足音が生まれた。視線を向けると、虚ろな表情で歩み寄ってくるのは、いつの間にか起き上がったキリトだった。

キリトがよろよろと数歩進むと、虚ろな表情で浮かべた。

「……ありがとう。また、助けてもらっちゃったな」

からからに乾いた喉から声を絞り出し、お礼を言った。

__礼なんか、必要ない。

と内心で呟くが、言葉にすることはなかった。

この世界に閉じ込められて2年、俺はひたすら襲いかかる敵と戦い続けてきた。戦いでは得るものより失うもののほうが多い。それがこれまでの戦いで俺が見出した結論だ。

何かを失う辛さを思い知り、いつの間にか自分の心が荒んでいくのを感じていた。だから誰とも関わりたくない。もとい、関わる必要もない。親密になればなるほど、失った時に味わう苦しみが更にその人の心を闇で満たすことになる。だから俺はキリトとも関わりたくない。

孤独を運命づけられた男。それが俺という存在だ。俺はすぐさまこの場から逃げるようにクロックアップした。音速と共に消え失せ、残ったのはフィールドを吹き渡る風の音だけだった。

すると、再び砂利を踏む足音が聞こえた。キリトは後ろに視線を向けると、先ほどまでの自分と同じ虚ろな表情で歩み寄ってくる華奢(きゃしゃ)な姿が見えた。

アスナは俯いたまま数秒進むと、糸の切れた人形のようにキリトの(かたわ)らに膝をついた。右手をそっと差し出してくるが、キリトに触れる寸前でビクリと引っ込める。

「……ごめんね……わたしの……
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