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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
白黒の交流
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「でも、わたしは帰りたい」

歯切れのいいアスナの言葉が響いた。

アスナは、珍しくキリトに微笑みを見せると、続けて言った。

「だって、あっちでやり残したこと、いっぱいあるから」

その言葉に、キリトは素直に頷いた。

「そうだな。俺逹が頑張らなきゃ、サポートしてくれる職人クラスの連中に申し訳が立たないもんな」

消えない迷いを一緒に飲み下すように、キリトはお茶のカップを大きく(かたむ)けた。まだまだ最上階は遠い。その時が来てから考えればいいことだ。

珍しく素直な気分で、俺はどう感謝の念を伝えようかと言葉を探しながらアスナを見つめた。すると、アスナは顔を(しか)めながら目の前で手を振って、

「あ……あ、やめて」

と言った。

「な、なんだよ?」

「今までそういう顔したプレイヤーに、何度か結婚を申し込まれたわ」

「なっ……」

戦闘スキルには熟達してもこういう場面に経験の浅いキリトは、言葉を返すこともできず口をパクパクさせた。さぞ間抜けな顔をしているだろう。

そんなキリトを見て、アスナはにまっと笑った。

「その様子じゃ、他に中のいい子とかいないでしょ」

「……い、いいんだよソロなんだから」

「せっかくMMORPGやってるんだから、もっと友達作ればいいのに」

その言葉を聞いた直後、キリトは慌てて言葉を返した。

「い、言っとくがな、俺は友達が1人もいないわけじゃない」

「いるの?」

「た、例えば……エギルや、ネザーとか……」

「ふーん」

細くなったアスナの眼が、疑惑へと変貌した。

「な、なんだよその眼は?」

「エギルさんはともかく、ネザー君が友達っていうのはどうかと思うけど?」

「うっ……」

さすがに反発できなかった。キリトも心のどこかで、自分とネザーが本当に友達なのかということに疑問を感じていた。

当初はネザーが自ら《ビーター》という汚名を背負うことを申し訳なく感じていた。自分も元ベータテスターだったのだから、自分がビーターを名乗ってもよかったはずなのだ。

いくら話しかけても、返事は冷たい台詞ばかり。どこか気高いものが感じられるが、顔の傷痕や汚名(ビーター)により悪人という視点で見られ、好んで近づこうとする人はほとんどいない。

キリトは脳裏を駆け巡って1つの言葉を抜き出した。

「確かに、ネザーは冷たい奴だけど……俺、なんとなくあいつの気持ちがわかる気がするんだ」

「え?」

この言葉にはアスナも眼を丸くした。

「俺、ギルドとかに入らないだろ。ベータ出身者が集団に馴染まないって話は聞いてるけど、俺は単にベータ出身者って理由だけでソ
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