レベル7前編 樢の口からびっくりすた
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始めたばっかだよ?」
「そう」
「うん」
「……」
「……うん、それでもいいならいいけど。あと、ルールとかも分かんないとこあったら途中で聞くかも」
「分かった」
「ん、じゃあ、明日ね」
「うん」
こうして、決闘の約束が取り付けられた。
「おじゃましまーす」
そういえば、九衆宝家に遊びに来たのは初めてだろうか。
大きめで少し和風な家の外観も、毛糸の日頃の言動から納得してしまう。
それから落ち着いた木の長い床を毛糸に案内されながら進むと、2人は1つの部屋に着いた。
「へぇー」
そこは、まるで祭壇だった。
窓もカーテンも締め切っている中、オレンジ色に見える程仄暗い明かりの提灯が小さく点在している。その明かり達に導かれるように樢が目を向けると、そこには木彫りの綺麗な球が丈夫そうな台の、柔らかそうな布の上に乗っていた。
(あの球……、なんか分かる)
樢はぼんやりと考えた。
(って何を分かるのよ)
と、冷静にセルフツッコミをしていると、
パチッ。
白熱灯の白い光が一瞬で部屋を現代の色に染めた。
「え……?」
「あんな暗いとこで決闘したら目が悪くなるわ」
「た、確かに」
強い光の前に、先程の提灯達はただ存在を主張するように光るだけに留まっている。
毛糸はそれから手際よく、大きめの机を中央にひきずって、小さなラバーマットを2つ向かい合うように置いた。そしてそのマット2つの前に椅子を1つずつ用意する。
樢は促されるままに小さなマットの前に座り、毛糸がデッキを取り出すのを見て自分もデッキを四角い枠線の中に置いた。
そして、2人の決闘者が対峙する。
「決闘!」
「え、あ、そうか、決闘!」
「先攻後攻選んでいいわ」
「ありがとう。じゃあ……」
樢はそこで動きを止めた。
「……どっちにしよう?」
「基本的に、先攻1ターン目は安定して盤面を築けるし、先攻が有利よ」
「じゃあ、先攻で」
「どうぞ」
「じゃあ、私のターン、ドローは無し……でぃ!?」
自分の使うデッキの初手を見た樢は我が目を疑った。
(私、こんなカード入れてない!)
樢の初手は《Kozmo−スリップライダー》、《光の援軍》、《バージェストマ・レアンコイリア》、《ライトロード・ビースト ウォルフ》、《魂吸収》。そのどれも、入れた覚えの無いカードだった。
(まさか!)
そう思ってデッキを見ると、デッキの束が普通より分厚い。
(このデッキ夢値が入れたんだ!)
樢は根拠も無く決めつけた。
「どうしたの?」
毛糸が不審な素振りの樢に尋ねかけた。
「え、あ、……いやぁ、なんでも」
少しの逡巡の後、樢は誤魔化しに入った。
「
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