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幽雅に舞え!
エピローグ〜幽雅に舞え!
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――一年後。ここはホウエンリーグ。整えた金髪に黒いタキシードのような礼装に身を包んだ青年と、白い帽子を被り蒼色の瞳をした少年がが、一つのステージを挟んで対峙している。スポットライトが二人に当たり、実況者の声が響いた。

「……これから始まりますのはチャンピオンのシリア・キルラVS挑戦者サファイア・クオールのダブルバトル!挑戦者の少年がチャンピオンとなるか!?幽雅なチャンピオンがその座を守り抜くのか!?今、戦いの火ぶたが切って落とされます!!」

「ではサファイア君、楽しいバトルを始めましょうか」
「ああ、お互い全力で行こう、シリア」

 黒いタキシードの青年――シリアが繰り出すのはジュペッタとサマヨール。蒼い瞳の少年――サファイアはジュペッタとヨノワールだ。ホウエンリーグの頂上決戦が今始まった。

「二人はお互いゴーストポケモン使いです。互いに効果抜群のバトルをどう戦うのか!」

 そんな実況者の声に答えるように、シリアは余裕の笑みを浮かべる。二人ジュペッタがけたけたと笑った。

「ジュペッタ、シャドークローです!」
「ジュペッタ、シャドークロー!」

 両者同じ技を使うが、若干サファイアの方が技の速度が速かった。シリアのジュペッタの体が引き裂かれたかに見える。

「おおっと決まったー!!見事な一撃、チャンピオンのジュペッタ早くもダウンかぁー!?」 

 しかし。チャンピオンの笑みは崩れない。むしろぱちぱちと拍手をして相手を賞賛した。引き裂かれたはずのジュペッタの体が影に滲む。そして本物のジュペッタが無傷で現れた。

「……下がれ、ジュペッタ!」
「ジュペッタ、シャドークロー!そしてサマヨール、重力!」

 サファイアが指示を出す。動き出そうとしたところを、サマヨールの重力が足を重くした。そしてその隙を――シリアのジュペッタがシャドークローで一気に刈り取った。巨大な闇の爪が、悪夢のように一気にジュペッタを切り裂く。

 ほとんどの観客には、シリアのジュペッタが倒されたと思ったら次の瞬間にはサファイアのジュペッタが切り裂かれたようにしか見えなかっただろう。

「これはどういうことだぁー!?チャンピオンのジュペッタ、一撃のもとに挑戦者のジュペッタを返り討ちだ――!!」

 実況と観客のどよめきを聞き、チャンピオンは語りはじめる。謎を解き明かす名探偵のように。

「いやあ見事ですねえ、素晴らしい攻撃でした。僕のジュペッタをも超える速度でのシャドークロー……まともに受けていれば僕のジュペッタといえどひとたまりもないでしょう。――ですが、僕は一度目、シャドークローを命じてはいません。予めバトルの前に言っておいたんですよ。僕が何を言おうとまず影分身をするようにね」


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