第5話 O・HA・NA・SHI
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える。
「……では、みなさんの紹介も済んだことですし、これよりフィリアンノ城へとご案内しますね?」
「そうですね? あとは道すがら、歩きながらでも話をしていきましょう」
「それほど距離はないのでありますが、疲れている方には車も用意しているであります」
「僕達が歩いて引いていきますから、良かったらセルクルにもどうぞ?」
紹介を終えるとミルヒ達は彼女達の根城であるフィリアンノ城へと案内を促す。
彼女達にとっては多少距離があるとは言え、普段から散歩に来る距離である。
その為、自分達は歩いて行くことを提示して、長旅に疲れているであろうヴィヴィオ達へと車――とは言え、あくまでもフロニャルドの車。
我々の世界やミッドチルダの車とは違い、セルクルで引いた客車――つまり我々の世界で言うところの馬車のセルクル版と言ったところなのだろう。
ミルヒ達とは別に来訪者の為に城から直接迎えに来ていた数台の車への乗車を薦めるのだった。
そして、シンクが自分達の乗ってきたセルクルも提供しようと言葉を繋いでいた。これはきっと彼の思いつきなのだろう。
自分自身が貴重な体験だと感じていた『セルクルへの騎乗』を味わってもらいたいと言う想いからくるものだったのかも知れない。
もちろん、彼の独壇場の話ではなく、来る途中に3人にはキチンと説明をして了承を得た話である。
「――姫様を歩かせるなどと、お前は何を考えておるのだ!」
と言うお小言を想定してのことではあったのだが、エクレもそこまでミルヒを過保護にしていないので素直に賛同していたのである。
だが、当のヴィヴィオ達は自分達も歩くことを望んでいた。
せっかくの新しい自分の知らない世界。自分の足で歩きながら景色を見たり、ミルヒ達と話をしたかったのだろう。
そんな申し出を微笑んで受け入れることにしたミルヒ達。
車への誘導は客人をもてなす為に発した言葉。だが、本心は――
色々と道すがら、話をしながら歩いて帰りたいと願っていたのだろう。
ヴィヴィオ達と同じように、彼女達もまた、自分の知らない新しい世界の話を待ち望んでいたのであった。
そして数日間の滞在中に、いくらでもセルクルに騎乗する機会はあるのだからと、シンクも納得して受け入れていたのである。
彼女達は、ひとまず車へヴィヴィオ達の荷物を積んで先に城へと向かわせてから、ミルヒ達を先頭に城を目指して歩き出すのだった。
☆★☆
「……先生、先生?」
「――ん? ……なんだい?」
フィリアンノ城へ向かう道すがら、シンクはトリルに小声で――
「先生の連れてきた人達は……姫様達の耳と尻尾を見ても驚かないんですね?」
素直に感じた疑問を投げかけたのだった。
実際にミルヒ達と最初に対峙した時――
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