第5話 O・HA・NA・SHI
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味津々になり、冷静に状況を把握して話を聞いていなかったのかも知れない。
トリルは現在、ミッドチルダと地球を往復する日々を送っていた。
平日はミッドチルダで紅茶の美味しい小さな喫茶店を営む店長。
休みの日は実家のあるイギリスに帰り、近所に住む人達を対象にアスレチック競技や棒術を教えていた。
両方の地に家を持つ彼には、どちらにも近所の人が存在する。
当然、高町親子はそのことを知っている。
だから、彼女は本来――なのはが地球のことを指して話をしている可能性を視野に入れて話をするべきだったのだ。
つまり、なのはの言葉が足りなかった点と自身の判断ミスが招いた結果なのだろう。
斯く言うなのはも、はやての説明を受けていた時に『自分と同じで、地球から異世界へ飛んだ子がいる』と言う部分だけを聞いて、勝手に仲間の様な感情を抱き舞い上がり、トリルが両方の地に知り合いがいることを失念していたのだと思う。
結局の話、相反する思考ではあるのだが、双方ともに舞い上がり――勝手に相手に通じると思い込んで、肝心な主語を抜いて話した結果の食い違いだった。
とは言え、この親子は普段からこうなのかも知れない。
2人とも『言葉よりも拳で伝える』タイプなのだ。伝えたいから、伝える為に拳を振るう。
この母親特有の交渉術――『O・HA・NA・SHI』の正統な後継者として、娘が成長した証なのだろう。
仮に最初から『O・HA・NA・SHI』をしていれば、もしかしたら食い違いがなかったのかも知れない。
彼女達にとっては言葉のキャッチボールよりも、魔法弾のキャッチボールの方が慣れ親しんでいるのかも知れない。
だが、基本『O・HA・NA・SHI』は、一方通行に近いもの。
自分の信念を届けることが重要であり、相手に伝わるかどうかは核に届いてからの話なのだろう。
とは言え、それは『O・HA・NA・SHI』ならば通用するかも知れないが、今回は世間一般の交渉術『お・は・な・し』なのだった。
だから、届けている最中に、主語を守護しながら相手に理解を押し通すことを不得手としていた『O・HA・NA・SHI』スキル保有者特有の盲点なのだと思う。
それが今回のような結果を招いていたのだった。だが――
相反する思考ではあるものの、それは同じベクトルの思考。
ただ単に導いた答えが真逆なだけで、過程の回路は同じであった。
まだまだ新米ママと新米娘の高町親子。周りの家族に比べれば親子の繋がりは浅いのかも知れないが――
実に『似た者親子』の微笑ましい会話だったのである。
☆★☆
ヴィヴィオがそんな数週間前の出来事を懐かしそうに、可笑しく思いながらミルヒ達の紹介を聞いていると、シンクの紹介も終わり、現在対面している者達の紹介が終わりを迎
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