第3話 出会いとキッカケ
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存在する世界――ミッドチルダのとある地域に建てられている高町家。
学院より帰宅して、夕食までの僅かな憩いの時間を満喫するように、自室のベッドに寝転びながら大好きな本を読み耽る1人の少女の姿がそこにあった。
彼女の『2人の母』の髪色である栗色と金色を掛け合わせたような、明るめのハニーブラウンの色合いの髪を、腰上あたりまで伸ばしたロングヘアー。
その髪を、自分が幼い頃に母が結んでくれた髪型――両側の房を青いリボンで結んだツーサイドアップにしている。そう、彼女は母がセットしてくれた髪型を、今でも気に入っているのだった。
そんな2つのハニーブラウンの房がヒョコ、ヒョコ、ヒョコと無造作に揺れている。
顎を乗せている枕へと――顔をドラムのスティックのように扱いながら、ポフ、ポフ、ポフとリズムを刻む。時折、メトロノームの様に左右に頭を振っている。
そして両足でトン、トン、トンと交互にベッドを叩いて楽しそうにリズムを取りながら、全身で楽しさを表現しながら。
嬉々とした表情で読書に熱中している仕草が似合いそうな――
まだ初等科4年生の彼女らしい、あどけない目鼻立ち。
そして服の外から見れば小柄で華奢に思われる彼女の肢体。
だがしかし、周りの印象とは裏腹に、日頃のトレーニングにより培われた俊敏さとしなやかさを併せ持つ、格闘術に携わる者特有のバランスが取れた体つきをしている。
そう、彼女は格闘術の素晴らしさに魅せられた少女なのだった。そして格闘術と同じように本を読むことが大好きな女の子。
そんな彼女の、大好きな本を前に嬉々とした表情を浮かべる顔立ちの中央――。
彼女を物語る大事な要素。
彼女の生まれた意味。存在する理由。
悲しくも切ない古い歴史の傷跡とも感じられるほどの、古代より受け継がれし2色の瞳。
虹彩異色と呼ばれる紅と翠の鮮やかな瞳の奥には、彼女には想像もつかない先人の苦しみや悲しみ。
そして自身に与えられた、辛く悲しい日々の出来事。
そう言った周りには見えない、自身を蝕む無数の柵と言う名の鎖が映し出されていたのかも知れない。
少女は、とある事件――辛く悲しい出来事の『鍵』として生まれた存在なのであった。
だが、そんな無数の柵から救ってくれた女性の娘となり、たくさんの友人や知人達の愛に恵まれることとなる。
そして同じく先人の意志を受け継ぐ者達との交流を経て――
やがて先人の残した傷跡も、癒えると同時に『生きる証し』へと変化を遂げつつ過ごしてきた数年間。
辛く悲しかった当時の面影など微塵も感じさせることなく、明るく元気に育っている今。
彼女は希望と探究心が満ち溢れ、輝きの増した色鮮やかな2色の瞳――
その視線の先で、自分の知らない世界を飛び回るが如く、両手で開
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