第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#12
PHANTOM BLOOD NIGHTMAREW 〜Master Of Circular〜
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」
まさに地獄の底から甦ってきた亡者そのものの声で、
闇の住人へと変貌した王は高らかに告げる。
“千征令” オルゴン。
嘗てその名を知る者ならば、敵味方を問わず誰もが
震え上がったとされる強大なる紅世の王。
携えた無数の戦功とは裏腹に、その晩年は随分と憂き目を強いられたが
実力はこの世界最大を誇る徒の組織、
“仮面舞踏会” の中でも間違いなく五指に入る強者。
その存在が、DIOの 『幽血』 を受けた事により
生前を遙かに凌ぐ能力を伴って現世に復活した。
その事実を、姿を認識するでもなく感じ取ったエリザベス。
正に、神をも畏れぬ呪われし魔物とその威光を一身に受ける聖女の対決。
即座に戦闘の口火を切ろうとするオルゴンを制し、
エリザベスはルージュで彩られた口唇を開いた。
「暫し、まずは場所を移動しなくて?
アナタの力もワタシの力も、この閉塞した場所では存分に揮えないでしょう。
何より、無辜の人々を 『波紋』 に巻き込むのはこちらも忍びない」
敵で在っても敬意を失さず、静かに告げられたエリザベスの提案に
オルゴンは無言で返す。
そし、て。
「フ、クククククククク。
幾ら強いと言っても所詮は女か。
戦場の直中で随分と甘いようだな? “千年妃” 」
嘲りを込めた言葉の終わりと同時に、
オルゴンの羽根帽子が大きく口を開ける。
瞬時に、路上が、その彼方が、並び立つ建物の中までが緑青色の炎で包まれる。
周囲300メートル、生物のみを殺傷する中性子爆弾でも撃ち込まれたように、
夥しい存在の力が幾つものうねりと成って、オルゴンの裡に吸い込まれていった。
「な……!」
予想だにしえない相手の暴挙に、初めてエリザベスの表情に動揺が走る。
「ファーーーーーーーハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!
コレでどうだ!? 貴様の思い悩まないようにしてやったぞ!!
“千年妃!!” 精々このオレに感謝するコトだな!!
ファーーーーハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!」
残虐な声が響く中、最小限の瞳の動きだけで無人と化した
シンガポールの街並みを見渡すエリザベス。
強大なる紅世の王、 “千征令” オルゴンにとっては
文字通り邪魔者を 「片づけた」 というものに過ぎなかったが、
ソレがどれほど深く彼女の心を抉ったか、
狂熱に浮かされる王は気づいていない。
「……」
何も出来なかった、死ぬ事さえ認識出来なかった人々の理不尽な死に、
エリザベスは悼むように瞳を閉じ祈りを捧げる。
そして、美しき風貌の前に上げられた手が、
やがてゆっくりと下がっていく。
微かな衣擦れの音、纏った外套が、清楚なブラウスが
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