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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#12
PHANTOM BLOOD NIGHTMAREW 〜Master Of Circular〜
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ような相手ではないの。
だから、行って、カズミ。
絶対に死んではダメ。 「約束」 よ」
「……」
 日本で出逢って以来、僅か一週間ほどだが吉田は
この高貴な女性に親愛や憧憬、或いは崇拝にも似た感情を抱いていた。
 (よわい)100歳を超えているというが、
立ち振る舞いはスマートで話題は若々しく、
言葉遣いや仕草の端々に感じられる聡明な雰囲気が大好きだった。
 でもやはり、この人は戦士。
 理不尽で不条理なこの世の “悪” から、
皆を護ると決意した横顔の何て美しく神聖な事か。
 自分も同じ決意を持っているとはいえ、
とてもこの女性には敵わないと想った。
 本当に本当に敵わないと想った。
「解りました。此処からは、一人で行きます。
エリザベスさんも気をつけて。
危ないと想ったら逃げてください。
「約束」 ですよ」
 力になれないなら、足手まといにだけは絶対なりたくない。
 想いを強く抱き、吉田はエリザベスに背を向ける。
 軽やかな足音と共に遠くなっていく少女を見つめながら、
波紋の超戦士は頭上を振り仰いだ。
「さぁ……そろそろ出ていらっしゃい。
このまま互いに見つめ合っていても(らち)が開かないでしょう。
それとも、何も出来ず消し飛ばされる事をお望み?」
 人の気配の感じない、ただ封絶の気流がたゆたうだけの壁面に
エリザベスは問いかけた。
 特殊な呼吸法が紡ぎ出す、正に女神と見紛う美しい声。
 しかしその全身は、神々の黄昏を前にした戦乙女(ヴァルキリー)のように
荘厳なる威風で充たされている。
「フ、ククククク、ファハハハハハハハハハハハ……!」
 動く者のない、鳥すらも羽ばたきを止めた空間に、
驕慢(きょうまん)極まる声が響いた。
 エリザベスの見上げるビルの壁面、その中からジワリと昏い影が滲み出る。
 纏わるその色彩は、錆びた青銅のように不気味な緑青色(りょくしょういろ)
 姿は、羽根飾りのついた大きな帽子と垂れ下がったマント、
手首のない袖の先で白い手袋がゆらゆらと動いている。
 それ以外に実体のない、明らかに人間とは異なる存在が茫洋と宙に浮いていた。
「流石だな? “千年妃(せんねんき)
フレイムヘイズではない、ミステスですらないただの 「人間」 でありながら、
数多の王を屠ったという貴様の異名、我が耳にも届いておったわ」
 外套を靡かせる貴女を眼下に、
身体のない徒が羽根帽子を上下に動かしながら告げる。
 陰鬱な声が漏れると同時に緑青色の火の粉が中から散った。
「我が名は、 “千征令(せんせいれい)” オルゴン。
死の深淵(フチ)に瀕していた我が存在を冥府から引き上げ、
新たなる力を与えて下された統世王殿に報いる為、その命頂戴するぞ
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