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ViVi・dD・OG DAYS
第1話 再会
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を目指して一直線に降り注いでいた2つの光の玉。
 その片方――ビスコッティを目指していた玉が途中で更に2つに分離を始める。
 分離した光は方向を変え、ビスコッティ共和国の隣国――パスティヤージュ公国の方向へと突き進むのであった。
 それを眺めていたミルヒは、遠い2国へと想いを馳せ――後ほど合流する予定の各国の勇者達の姿を思い浮かべて微笑みを溢す。
 しかしその反面、杞憂であるとは思うものの、どうしても拭い切れない不安が募る。
 ――自分の国の勇者に早く会いたい。早く姿を見て安心したい。大丈夫だと思いたい。
 きっと彼女の後ろに付き従う少女達も同じ想いでいたのだろう。
 そんな逸る気持ちに蓋をして、先を急ぐ彼女達なのだった。 

☆★☆

 高台へと通じる階段の登り口へと到着した彼女達は、セルクルを止めると急いで飛び降り、様々な思いに比例している心臓の鼓動のように、早鐘の勢いで階段をかけ上る。
 階段を上りきった彼女の目の前に、高台へと辿り着いた光の玉が眩い光を放ち光臨する。
 やがて光が和らぎ、花が咲くかの様に蕾を開き始めるのだった。

「…………」

 光の玉と対峙するミルヒは、固唾を飲んで蕾が開くのを見守っている。
 やがて、完全に開かれた蕾の中から現れたビスコッティの勇者――。
 シンク・イズミ――シンクと呼ばれる少年の姿に安堵すると共に、喜びの表情を浮かべて外套越しでもわかるほどに尻尾をパタパタ揺らしながら近付いていくのだった。

「――おかえりなさい、シンク」
「ただいま、姫様」

 笑顔で言葉を送る彼女に、同じ表情で返す彼。
 そして、どちらからともなくハグをすると彼は彼女の頭を懐かしそうに撫でるのであった。

「……なんとか今回は、無事に帰ってこれました」
「はいぃ。ホッとしました……あっ、タツマキも大儀でしたよ?」

 彼女は前回のアクシデントを思い出して苦笑いを浮かべる彼に安堵の旨を伝え、彼の足下に座る――勇者召還の(ろう)(ねぎら)うように、ビスコッティ騎士団の使役犬。隠密隊のベテランオンミツのタツマキに感謝を述べるのだった。

 彼が彼女へ向けた「今回は、無事に帰ってこれました」と言う言葉。
 前回の召喚の際に、彼と――彼の従姉であり、ガレット獅子団の勇者――。
 高槻 七海(たかつき ななみ)――ナナミと呼ばれる少女の身に起きた出来事を指しているのだった。

 前回、彼と彼女は学校の休みを利用して、とある世界大会に出場していた。
 そして大会終了後。家に戻らずそのまま召還に応じた為、同じ場所から召喚されることになったのである。
 ところがその際――召還の魔方陣へと吸い込まれた落雷の影響により、本来の召喚先である高台と崖へは辿り着けず、別の場所へと飛
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