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ViVi・dD・OG DAYS
プロローグ
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 彼女は完全に目を覚まして窓の外を見つめながら、恵まれた天候を喜ぶかのように笑顔を浮かべて言葉を紡いでいたのだった。

「……あれから、3ヶ月も経ったのですね?」

 彼女は窓の外の暖かい春の陽気を眺めながら、肌寒い去年の冬に訪れた訪問者達のことを思い出していた。
 だが、彼女の思い出している人物とは勇者達の話ではない。
 そう、勇者達は彼女の中では――
 傍で仕えてくれているリゼルを始めとするメイド達。自分を慕い道しるべとなってくれている重鎮(じゅうちん)達。
 そして父や母の様に、姉や兄の様に、妹や弟の様に接してくれている城の者達。
 そんな彼女の周りに存在する者達のように、既に家族のように大事な存在なのであった。
 つまり彼等の場合、思い出すと言う感情よりも待ちわびている感情の方が強いのだろう。
 更に彼等とは密に連絡を交わしているので、実際には『冬の訪問者達』よりも思い入れは強い。
 しかし彼等と同じくらい大事な友人達だと、彼女が感じているのも事実。

 そんな来訪者達のことを思い出しながら、彼女はベッド脇のテーブルに視線を移すのであった。
 テーブルの上には2匹のぬいぐるみと写真立てが置いてある。
 ウサギと豹のぬいぐるみ。遠い異世界に住む友人達の友好の証。
 そして、その奥に置かれた写真立て。
 訪問者達と勇者達。先に帰ることになった訪問者達が帰路(きろ)へ旅立つ日に、集まった全員で撮った写真――。

「……クスッ」

 ミルヒは写真の中に写る全員の満面の笑みを眺めて、あの時の出来事を思い返し笑みをこぼすのであった。

 この物語は時を遡ること3ヶ月前。
 フロニャルドの冬の大地に降り注いだ、とても『色鮮やか』な――寒気を吹き飛ばす夏のような『暑い日々』は、2つの世界を繋ぐ些細な偶然から始まるのであった。

=プロローグ・完=

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