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幽雅に舞え!
ポケモンバトルで笑顔を。
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「僕のことを死なせない……か。君はどうしてそうしたいんだい?君にとって、僕はただの赤の他人じゃないか。ましてや自分が楽しんで最期を迎えたいっていう我儘のためだけにホウエンそのものを危機に陥れているんだよ?」

 ジャックは仙人のような笑顔で問う。サファイアの答えは決まっていた。

「仮に赤の他人だとしても、自分から死ぬなんてバカなことをしてるやつを放っておけるもんか。シリアの頼みでもある。それに……お前とは、赤の他人なんかじゃないだろ」
「へえ、そうだっけ?」
「そうさ、カイナシティでのポケモンバトル。とっても楽しかったし、ジャックだって楽しんでただろ。また何度でも、ポケモンバトルをしよう。だから簡単に死ぬなんて……」
「簡単に?冗談言わないでよ。僕の苦労と人生を君は何も知らないじゃないか」

 ジャックが語りだす。自分の人生を。そしてここまでの苦労を。

「僕はね、3000年前は普通の子供だった。だけどある日。グラードンとカイオーガ……ゲンシカイキ同士の争いに巻き込まれてね。二体の攻撃を受けて……僕は一度死んだと思った。だけど、現実はもっとひどかった……僕は死ぬのではなく、ゲンシカイキの力そのものをその身に宿してしまった。それからは年も取らず、何も食べなくても餓死もせず、海底に沈んでも、マグマにさらされても、どうしても死ねない。……僕の友達はみんな死んでしまうのにね。その苦痛は君にはわからないだろう?」

 僕はもう、生きるのに疲れたんだよ。こんな態度をとらないとやってけないくらいにね。と悲しそうに笑顔で呟く。彼の笑顔もまた、シリアとは違った自身に張り付けた笑みだった。

「だから僕は、僕を生き永らえさせているゲンシカイキの力そのものを滅ぼすことにしたんだ。その為にティヴィル博士を利用してね。……君がキンセツシティで止めたあの機械。あれはメガシンカの力を集めるためのものだったんだ。ゲンシカイキとメガシンカは互いに引き合う。膨大なメガシンカの力を集めることで、こうしてめでたくゲンシカイキの二体で目覚めたってわけさ。……そういうことだから、僕を楽にしてよ。ゲンシカイキの二体をかっこよく、英雄のように倒してさ」

 確かにそれは、サファイアには想像できないほどの苦痛と悲しさがあっただろう。永遠の命がもてはやされるのは、おとぎ話の中だけだ。

「……でも、死んじゃダメだ。俺やシリアは、お前に生きていてほしい」
「へえ?君たちが生きている時間なんてせいぜい百年程度だろう?そのために僕に永遠の地獄を生き続けろって言うんだ。それっておかしくないかな」
「永遠の地獄……か。じゃあジャックにとってはあの時のポケモンバトルも楽しくなかったのか?」
「そんなことはないよ。今の僕にとってはポケモンバトルだけが
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