UNLIMITED03――明日――
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「イーストゼネティックス?」
既に聞きなれたであろう言葉を、凱はまるで初めて聞くかのようにつぶやいた。
「ええ、あなたを条件付きの監視先が決まったわ」
薄暗い収容部屋から一転、久しぶりに太陽の光差し込める地上へ――
埋立地である元Gアイランドシティを改建し、人類を守る少年少女が居を構える砦へと変わっていた。
一つは、ウエストゼネティックス――
そしてもう一つは、凱の監視先であるイーストゼネティックスなのだ。
凱の臨時監視役であるシュバリエ最強のパンドラ、イ=スナと凱は今イーストゼネティックス居住エリアを歩いていた。
イーストゼネティックス首脳部への面談まであと数時間。予定より早くイーストへ到着した為、凱とスナは時間を持て余していたのだ。
あまりにも暇すぎて、任務中にも関わらず、スナは「せっかくだから街へ繰り出しましょうよ♪」と音符付きで言われた。
「お、おい!」
呼び止めようとする凱だったが、スナはさっさと凱の先を走っていった。
先日のスナは恐怖を体現したような第一印象が強かったので、なんだかこんなスナの態度を見ると、戸惑いを隠せない。
なんだか凱と歩けるのが楽しそうなスナだった。
一体どういうつもりなんだ?
二人は時間が許す限り、イーストゼネティックスの新都市を散策し尽した。
「う〜〜ん。空気がおいしいこと♪」
スナは大変ご満喫な様子だ。久しぶりに羽を伸ばせることについ背伸びしてしまう。関して凱はスナの後ろをくっつく形で歩いていた。
「なぁ、スナ。俺たちこんなことしてていいのか?」
「ん?何が」
「イーストゼネティックスへ向かうはずなのに、こんな寄り道なんかしてさ」
「あら、これは任務でもあるのよ」
「任務?」
ぽかーんと突っ立つ凱に対し、スナはくすりと笑った。彼女のその仕草がちょっとだけ可愛いと思った。
「行きましょ。凱さん」
「よっしゃ」
凱はどことなく投げやりな返事をよこした。
(完全にスナのペースだな。こりゃ)
それから二人は再び街中に向かって歩みを始めた。
陽気に合唱する楽隊キャラバンや、不思議系ご当地キャラが踊り、グルメタウンが食欲をそそるようなコマーシャルをする。
見るものすべてに対して凱は感涙の溜息をついた。どうやら凱のいた時代より60年たったというのは本当らしい。
ホログラムサイネージや多元面ディスプレイなど、そのあたりの先進技術も、あの頃の時代より一新していた。
とおりすがる人々も日本人だけではない。多様な民族衣装もあれば、洋風な衣装を着ている人もおり、とにかく外来国者がハンパじゃなかった。
あれは何と聞けば、これは何と訪ねれば、凱はいろいろとスナに教えてもらっていた。過去形の時代に生きてきた凱に
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