UNLIMITED03――明日――
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とって、見るものすべてが新鮮だった。それ故に、この時代の流行知識など皆無であった。
凱が訪ねれば、スナは嫌な顔をせずむしろ積極的に、そして嬉しそうに教えてくれた。
いつの間にか、緑満ち溢れる公園に辿りついていた。スナが「あそこで一休みしましょう。ちょっと買い物行ってくるわ」といい、凱を先にベンチへ座らせた。
なんだか、心地よい疲労感が襲ってきた。何時ぶりなのだろうか?こんな穏やかな1日を過ごしているのは……
ふと、空を見上げた。脳裏にはGGGの仲間たちが浮かんでくる。
現在GGGの身柄はアオイ=源吾と名乗る男の元へ。閉鎖空間を脱出できたのはよいが、空間脱出作用の影響で凱を除く全員が深い昏睡状態に陥ってしまっていた。
その中には、将来を誓った最愛の「宇津木命」の姿もあった。
そんな右曲余折を得て、いざ目が覚めたら60年後の世界ときた。もはや何が何だか分からない。
自分たちが守り抜いた世界の平和は長く続くものと思っていた。
――異次元体ノヴァという、存在を知るまでは――
(俺たちが戦い続けてきたことに……何の意味があったんだろう?)
果てなく続く、心無い来訪者との戦闘。それは、いつの時代でも変わることのない火種なのだろうか?
目の前の敵が倒れても、また新たな敵が現れる。そんな新たな敵に自分たちが倒され、また自分たちの意志を受け継ぐものが現れる。
戦争と平和と変革。終わることのない円舞曲。
そう思うと、凱の心には果てしない虚しさが襲って来るのだった。
「冷てっ!!」「ほら、凱さんの分よ」
冷えた感触が凱のうなじを襲う。スナにあっけなく不意打ちを食らった。凱が冷たいと感じた物体の正体は、幾重にも重ね合わせたアイスクリームが入っている容器だった。びっくりする凱に、スナはなんだかかわいいと思えた。
「スナ?」
それから二人は隣同士にベンチに腰掛けた。
「凱さん、どうしたの?」
「俺は……」
「凱さん?」
「この世界に生きる意味って、あるのか……?」
「……凱さん……」
スナにとって、凱のこの落ち込んだ表情は、まるで小さな子供のように見えた。
なんだか、今の凱は変だ。彼は今、自分の気持ちを暴露している。
「ゾンダーを倒したかと思ったら、その未来の先はノヴァだぜ。自分たちが守ってきた世界に対して、倒すべき敵のいない――帰るべき場所――があるのかなと思ってさ」
なんとなくスナは理解できた。凱のその言葉の意味を。
彼は地球の未曾有の危機に直面してきた最初の人間。地球外文明による脅威は、誰よりも知っているつもりだ。
地球外知生体、人類にとって未曾有の危機とのファーストコンタクトとなる認定ナンバーのEI−01と接触した彼にとって、この世界はどう感じるのだろ
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