UNLIMITED02――虚空の狭間にて――
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
うなずいた。まるでご名答と言わんばかりに。
「それよりも……俺を縛り付けるこの鎖は一体何なんですか?」
子供のように凱はおいすがる仕草で目の前の人物に問う。アオイ博士は険しい表情で答える。
どうしてこんな無骨なものを縛り付けられているのか理解できない。あえて理解できることと言えば、危険物と同じ扱いをされている事実だけということだった。
「君にこんなことをしてすまないと思っている。こうでもしないと接触する許可が下りないのだから」
「どうして……」
「いろいろ聞きたい顔をしているが、まずは順序を追って説明しよう。君が……君の仲間たちが置かれている現状についても含めてね」
仲間の安否について聞いたとき、ベッドから飛び跳ねる勢いで上半身を起こそうとした。
「私たちが木星付近で獅子王君らGGGを発見した時、クルー全員冷凍保存されていたよ。おそらく、不測の事態に際して延命するための処置だったと思う」
心身ともに消耗しきった凱にとって、それはあまりにも衝撃なものだった。
「今君たちの仲間は解凍作業されているはずだ。ただ、意識を取り戻すにはしばらくの時間を有するかもしれない」
安心していいのか、疑っていいのか、どちらかわからない。ただ、今の凱にできるのは、アオイ博士の言葉を信じることだけだった。
「君がどうしたらいいのか分からないように、我々もまた君の処遇……いや、君たちの存在をどう認識したらいいのか分からないのだ」
「お……俺たちの……存在を?」
たどたどしく凱は聞き返し、アオイ博士は小さくコクリとうなずいた。
そしてアオイ博士から直接語られる経緯。おおよそのことを聞いているうちに、いくつか理解したことがある。
原種大戦終結より、凱のいた時代より60年が経過している――
そしてまた、機界文明に替わる新たな天敵が活動を開始したことを――
――異次元体 N・O・V・A――
自走式爆弾の二つ名をもつノヴァ。ゾンダーをZの使者と表現するなら、ノヴァはNの訪問者となる。この異次元体の発する特殊な素粒子が判明したことで、かつてのEIナンバーの性質「素粒子ZO」を乗っ取って「N1」と命名し、出現した順に異次元体の認定ナンバーが呼称されるようになった。
ノヴァの生態調査を進めていくにつれて、いくつかの結果が修得できた。驚くべきは、性質のほかにその特性も含まれていた。
コアを有していたゾンダーと同じように、ノヴァもまた活動源となるコアを有している事実が判明した。
ただ、アオイ博士はそのことに一つの危惧をいだいているらしい。
原種大戦をリアルタイムで生きていた幼少の頃のアオイ博士の記憶には、ある台詞が鮮明に蘇る。
――それを壊しちゃ……ダメェェェ――
原種大戦当時、民間協力者
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ