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幽雅に舞え!
決着。そして伝説へ。
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ワール!」

 サマヨールとヨノワール、進化前と進化後のポケモン同士が最後に残る。苦渋の表情を浮かべるシリアに対し、サファイアの表情は笑顔すら浮かんでいた。

「こんな形になったけど……シリアとバトル出来て楽しいよ。伝説のポケモンまで倒せて、すっごくワクワクしてる」
「……ああそうかよ」

 だからどうした、と言わんばかりのシリア。

「俺、ヒマワキシティでのシリアのバトルのこと、最初は相手を無理やり動けなくするだけの相手を見下した酷いバトルだって思ってた。でも今は違う……どんなバトルにも、真剣にや

ってるから楽しい、そう思えるんだ。」
「……」
「俺はシリアのバトルを否定しない。これがシリアの本当のバトルスタイルだって言うならそれでもいい。だけど……『幽雅』な心まで無くしちゃ駄目だ。きっとシリアは、その方が強

い」
「……言いたいことはそれだけか?」
「ああ、もうこれ以上言うことはない」

 数秒、お互いに静寂。発声は同時だった。

「サマヨール、重力!」
「ヨノワール、重力!」

 両手を前に突き出しお互いに発生させた重力が、お互いの体を潰しあう。ヨノワールは攻撃に優れ、シリアのサマヨールは進化の輝石を所持しているため防御にさらに特化している。
攻撃と防御。純粋な力の衝突に勝ったのは――サファイアと、そしてルビーのヨノワールだった。シリアの最後の手持ちが力尽きる。


「……………………俺の負け、か」
「ああ、俺の――俺とルビーと、仲間みんなの勝ちだ」


 敗北したシリアは、何処かすっきりとした表情をしていた。憑き物が落ちた、という表現がふさわしい。サファイアの顔をまっすぐ見据えると、こう言った。その笑顔は、まさしくサ

ファイアの知っていたチャンピオンの顔そのままだった。

「ジャックを……俺の師匠を頼む。だが次は負けねえ。ホウエンリーグで待ってるぜ……この地方の代表、『幽雅な』チャンピオンとしてな」
「わかった。この戦いが終わったら、すぐにでも行くよ」

 口調は元のまま、それだけ言って、シリアは踵を返して去っていく。それをサファイアが見送ると、再びジャックの声が響いた。

「やあ、チャンピオンとの戦いお疲れ様。良いバトルだったよ。末期の見世物には丁度いいね」
「それで、ジャックはどこにいるんだ」
「まあ焦らないでよ。――今行くからさ」

 すると突如として、サファイアの目の前にジャックが現れた。もう意外とサファイアに驚きはない。

「さあ、今ここにホウエントレーナー最強のトレーナーが誕生したわけだ。こちらも最強のポケモン達で挑まないとね」

 ジャックが指をパチンと軽やかな音を立てて弾く。す
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