第38話 引っかかり
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う感情を引き起こさせた。だけど、なぜ俺はこの人にそんな気持ちを抱いたのかわからない。
───だってこの子はいつも俺に負けると帰り際に捨て台詞を残して立ち去って行って、そんでいつでもどこでも勝負を挑んでくる子だった。赤の他人ではあるが負けん気な妹みたいな感覚で接していたんだ。その子の名前はーーー
......は?
俺は、今何を考えた。
「どうしたのかしら?なんか具合悪そうに見えるけど」
「いや、なんでも、ないです」
俺は心にもないことを言ってテーブルに手をつく。
「すいません。横、失礼します」
彼女が、穂乃果が普段は見せない顔で綺羅ツバサの横を通り過ぎ、俺の肩を支える。『なにツバサさんの横を堂々と通ってるのよ礼儀知らず〜!』などと俺にまで聞こえるくらいの声でにこが言っていたけど、それにかまっている余裕もない。やたら鼓動の早い胸がぎゅうっと締め付けられるような痛みを感じる。だれだ...
「お前は...誰だ?」
さっき名前を聞いたばかりなのに尋ねる。そうでもしなければ自分を保てる自信がなかった。間違いない、目の前に立つ綺羅ツバサは...幼少期の俺を知っている。逆に、幼少期の彼女を俺は知っている。なのに彼女はずっと表情を変えずに俺と穂乃果を見比べて呟いた。
含みを入れずに、ただシンプルに一言。
「....やっぱり、貴方達だったのね」
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