第百十八話
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りきりになっていた代物だ。
「当のルクスが許してんのに、あたし様が許せねぇってんだー、なんて言えないわよ。これ、お礼とお詫び。……この前、折っちゃったでしょ?」
「……ふん」
いつぞやのPK集団との戦いの最中、リズは戦いの結果とはいえ、グウェンの愛刀を叩き壊してしまったらしく。今回のシャムロックとの一件がなくとも用意していた物だが、ちょうどお礼にいい品物だ。満更でもない様子で短剣を受け取るグウェンを、満足げに微笑むリズ――から、アイコンタクトがこちらに届く。待ってましたとばかりにメニューを操作し、目の前のプレイヤー――すなわち、グウェンに『パーティー申請』を送る。
「……は? パーティー申請?」
「ルクスと仲直りしたならあたし達にも関係ない……って言いたいところだけど、そうもいかないし。このクエスト、一緒にやって手打ちにしましょ?」
「それだ! グウェンも、このクエスト受ける気だったんでしょ?」
「え? あ、その、そうだけど」
仲間内でもグイグイと推してくることに定評のある二人に、最初の悪意ある雰囲気を忘れ去ったグウェンが、いっそ同情すら感じるほどにたじろいでいた。素人目にもかなりの業物と分かり、かつ自らが扱う武器種である忍刀を受け取っている、という事実も困惑に加速をかけている。
「凄いねショウキくん。今のアイコンタクト、リズと息ピッタリって感じ」
「……まあな。っと」
「嬉しそうだね……あ、そっか」
後ろから引き気味に全てを眺めていたレインから、ありがたいお褒めの言葉をいただいて、短いながらも照れた言葉を絞り出した。そしてグウェンをパーティーに招待をしたはいいものの、俺たちがそもそもパーティーを組んでいなかったことに気づき、他のメンバーにもパーティー申請を送っていく。
「あーもう! 分かったわよ! やればいいんでしょ!」
グウェンの半ばヤケクソ気味な言葉とともにパーティーの申請を受け入れられ、視界の端に他のメンバーとともにグウェンの名前が刻まれる。そしてクエストの発生条件である、レプラコーンを含めたパーティーという条件を満たし、成り行きでリーダーになった俺の前にある石ころが落ちた。
「ショウキくん、なんか落ちてきたけど」
「ああ、この石を拾うと、クエストが始まる」
「え」
「わひゃぁぁぁぁぁ!」
レインの短い言葉とともに石ころをヒョイと拾うと、クエストが開始されるとともに、森の奥から突如として巨大なゴーレムが現れる。出現地点が分かっていたため、そそくさと逃げていたリズを除き、入口にいたユウキとグウェンは反射的に悲鳴をあげながら逃亡し、こちらに一目散に合流した。
「ショウキ! 準備! まだボク、武器装備してないんだから
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