第百十八話
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か生産職限定クエストだから、あんまり有名じゃないけど……って、あちゃ」
「先客か、珍しいな」
そのクエストが発生する森の入口に、一人のプレイヤーの姿が見てとれる。レプラコーンという種族があるとはいえ、生産職限定クエストは待つほど人がいることは少ない。しかも、金髪に緑色の服からシルフのようだが……
「あーっ!」
もう少し近づいてみたところ、リズとユウキの驚愕の声が重なった。その大声でシルフのプレイヤーも振り向き、そこでようやく俺は、そのプレイヤーが『彼女』だということに気づく。
「げっ……」
「……誰?」
「グウェン。例のPK集団の、元リーダーだ」
シルフ特有の金髪をツインテールに纏め、露出度の高い和装に身を包んだ少女――グウェン。その人物と直接対面したことがなかったレインに説明しながら、自分も反射的に彼女のことを思い出していく。SAO時代のルクスの友人であり、彼女を利用してこのALOを昔のPK重視ゲームに戻そうとしていた。
だがグウェン本人も利用されていただけらしく、先のフロアボス攻略戦のシャムロックへの襲撃を、ルクスにメールで教えてくれた人物でもあった。そのメールのおかげで、俺たちはシャムロックを助けることができ、こうして呑気にパーティーもやっていられるのだから。
「何よ。あんたらのおかげで、こうしてソロプレイすることになって、武器の素材集めなんてことしてるのに。わたしが先に来たんだから、アンタらが消えてくれる?」
「ここのクエスト、生産職限定だから、レプラコーンがPTにいないと発生しないわよ」
「え゛っ」
バシバシとこちらに向けられていた敵意が、リズの溜め息混じりの一言で雲散霧消する。森の入口で何をウロウロしているのかと思えば、どうやらクエストが発生しない為に困っていただけらしい。
「ならわたしから消えるわよ。顔も見たくな――ひゃっ!?」
「ううん! ありがとね! キミのおかげで、みんな上手くいったんだから!」
「ちょ、ちょっと……離しなさい!」
調子を取り戻して飛び去ろうとしたグウェンだったが、その神速で距離を詰めたユウキに手を握られて、無理やりに飛翔をキャンセルされた。もちろん、ユウキにそんなつもりはないだろうが。
「だから離しなさいってば!」
「あ、ごめんごめん。でも、お礼がしたいのはホントだよ!」
「…………っ」
「そうそう」
ユウキの心の底から語られる言葉に、グウェンは毒気を抜かれて悪意が雲散霧消していく。その隙に接近したリズがグウェンの肩を叩くと、その逆の手には、かなりの業物である短剣――いや、忍刀と呼ぶべき武器が握られていた。それはグウェンが使っていた武器種と同じ物で、俺とリズは最近アレにかか
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