第百十八話
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どうするの?」
「ひゃっ!?」
「!?」
満足げに走り去っていく二人を眺めていると、突如として後ろから声をかけられ、驚愕に二人で振り向くとそこにはユウキ。サラマンダー領の面々に囲まれて身動きが取れなくなっている筈の彼女が、にへへー、という擬音がつきそうな笑顔でそこに立っていた。
「どうしたの? さっきまでサラマンダーの連中に囲まれてたのに」
「ボクの強さが知りたいなら、いつでも相手になるよ! って言っただけだよ?」
そう言うユウキの格好をよく見れば、いつでもデュエルが出来そうな服装に変わっていた。胸部にはバックラーと腰には愛剣と、準備万端なユウキに対して、サラマンダーは何やらみんなで話し合っていた。誰からユウキに挑戦するのか、どうやら決めかねているようだ。
「はー……。ま、ユウキなら大丈夫だと思うから、バッチリ決めてきなさいな!」
「うん! ところでショウキ、飛び入りも歓迎だけど?」
「パス」
「そこは受けて立つ! とか言えないの、あんた」
リズに非難の意味を込められた視線が向けられるが、目を輝かせたユウキと戦うなど御免被りたい。そっぽを向きながらシャムロックの本部を見ると、そこには改めて、かなりの数のプレイヤーが集まっていた。もはや人数も数え切れないほどの妖精たちに、今更ながら変な笑いが出てしまう。
「冗談冗談。ショウキとの決着は、もっといい舞台でね! それにしても……いっぱいの人」
「ユウキ?」
こちらの『パス』をどのように判断したのか、ユウキは少し恐ろしいことを呟きながら。集まったプレイヤーを眺めて俺と同じ感想を持ったのか、ユウキもどこか感慨深げに一歩踏み出した。
「ううん。リズたちに会って、友達がいっぱい出来たなって……ボクたち、この世界に来て良かったって、改めてそう思ったんだ」
そう呟いたユウキの後ろ姿は、どこか――簡単に壊れそうな脆さを備えているように、見えた。
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