第百十八話
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『かんぱーい!』
とても前座とは思えない熱狂を見せたセブンとレインのライブが終わると、当然というべきか打ち上げに入っていた。遂に単独でのフロアボス攻略を成し遂げたスリーピング・ナイツ以外のメンバーには、正直に言ってまるで関係がないのだが、とりあえず騒ぎたいだけのプレイヤーが多いらしい。
しかも今回はただの打ち上げではなく、気合いの入れようも違っていた。レプラコーンが総動員して、この打ち上げ用の機能をシャムロックの本部に作り上げることにもなった。そもそもが、打ち上げで何を食べたいか――などと話題になった時に。
「バーベキュー……!」
そんなことを、当のスリーピング・ナイツのリーダーが、この上ない迫力を持って言ってのけたことが原因だった。それから『恥ずかしいから、ボクが言い出しっぺなのはヒミツだよ!』などと言っていたが、もはや誰もが知っている公然の秘密だった。誰が言いふらしたとかではないが、もしもユウキが猫妖精だったならば、ブンブンと尻尾を振っていただろう喜びように、みんなが何となく察していたからだ。
そして喜び勇んでバーベキューを開始した言い出しっぺと、快くシャムロックの本部を提供してくれたセブンによって、フロアボス攻略の打ち上げバーベキューは出来たのだが。
「まあ、足りないわよねぇ」
「……そうだな」
元々は内輪だけでやるつもりだったのが、シャムロックにシルフ領にケットシー領の面々も加わり、明らかに用意した肉の量が足りない。もちろんその三大ギルドも、自分たちが貯えていた食料アイテムの大盤振る舞いをしてくれたものの、それでもなお足りない状況だった。
「仕方ない。さっさと取りに行ってきますか」
「だな」
げに恐ろしきは人間か――などと思っていたが、せっかくの祝いの席でそうもいかない。量が足りないと感づいてきたメンバーも多く、自らが持っていたアイテムを提供してくれているプレイヤーもいたが、それだけでは焼け石に水に違いない。
「ショウキ! リズ!」
幸いなことに主に肉のアテがあった俺とリズが、とりあえずセブンやアスナ辺りに断ってから、この場を飛び立とうとしたところ。武装を外したユウキが、こちらに手を振りながらトコトコと走ってきた。
「食材の買い出しに行くんでしょ? ボクも行くよ!」
「んー……来てくれたら嬉しいけど、あんた主賓でしょ? いいの?」
「大丈夫大丈夫!」
「言い出しっぺだもんな」
「ショウキ! ヒミツ! ヒミツだってば!」
その口に付いたタレを拭いたら、話くらいは聞いてやる――と言いたくなったものの、何となくそれは秘密にしておいた方がいい気がした。このバーベキュー企画の発案がユウキだということは、スリーピング・ナイツに、バーベ
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