sts 31 「決戦の始まり」
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早いはずだ。そもそも、奴は犯罪者とはいえ知能指数で言えば義母さんも上回るだろう。自分以外の技術者を欲しがる必要はないはずだ。
「適当なことを言うな。本当の狙いは何だ……俺を捕まえてフェイト達を屈服させる材料にでもするつもりか?」
『フフフフ……なかなか鋭い読みだ。しかし、あいにく私は君を捕まえたりするつもりはないよ。君の持つデバイスのデータは手に入れたくもあるがね』
「貴様……」
『そうカッカしないでくれたまえ。こうやって君に連絡したのは君にあるプレゼントを渡すためなのだから』
「プレゼントだと?」
『ああ、そのとおり。さあ……受け取ってくれたまえ!』
「――っ!?」
背後に気配を感じた俺はファラ達の呼び声と同時に振り返り、現れた影に向かって剣を振るう。ガシェットV型は真っ二つになり沈んでいくが、その向こう側に暗い青色の結晶が見えた。ジュエルシードかとも思ったが、あれよりも二回りほど大きい。
――何だ……あれは?
次の瞬間、結晶から強烈な光が放たれる。視界の全てが光に包まれたことで俺の視界はゼロになり、それと同時に体の中を探られるような感覚に襲われた。
体の制御を奪われるのかと思い後方へと動く。感覚に狂いがないか瞬時に確かめるが、手足はきちんと動き問題なく飛行できる。光によって視界が遮られていること以外は問題がないようだ。
「いったい何が…………なっ……」
光の収束と同時に俺は言葉を失った。回復した視界に非現実的な存在が映ったからだ。
長い銀色の髪に寂しげな赤い瞳、黒衣の騎士甲冑に背中にある6枚の黒翼……これらの特徴を持つ人物は俺の知る限りひとりしかいない。
だが俺の脳はそいつであるはずがないと否定する。何故ならそいつは……彼女は10年も前に空へと還っているのだから。
あの日をことを忘れるはずもない。忘れたこともない……だからこそ俺の思考は錆びついた歯車のように上手く回らずに停止する。
「どうして……どうしてお前が居るんだ? ……アインス」
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