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幽雅に舞え!
チャンピオンとの決戦!
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フワライドに乗り、トクサネシティに到着すると、海岸沿いでシリアは傘も差さずに立っていた。そこにサファイアが降り立つと、シリアはいきなりボールを構える。

「ようやく来やがったか……さあ、俺とバトルしろ!」
 
 有無を言わせぬ、という態度だがサファイアにしてみれば理由がわからない。

「待ってくれ、シリアもジャックを止めに来たんじゃないのか?なんで俺たちが争う必要があるんだ」
「それは……」

 シリアが説明しかけた、その時だった。

「それには僕が答えてあげるよ、原石君」

 すると今度は電話ではなく、頭の中に直接ジャックの声が響く。周囲を見回すが、ジャックの姿はない。

「僕は先に来たシリアにこう言ったんだ。ボクを止めたければ、原石――サファイア君を倒せってね」
「なんでそんなこと……」
「だってー、仮に君とシリアが協力して戦ったとして、まともに連携が取れるかい?君の方は出来るかもしれないけど、シリアには無理だね。彼は誰かと協力できる性質じゃないし、そんなバトルじゃ――楽しめないだろう?」
 
 どうやらジャックの目的はあくまで楽しむことにあるようだ。そのことに少なくない怒りを覚える。サファイアはまだ小さかったからあまりよく覚えていないが、10年前の大雨と日照

りはホウエン地方全体に大きな被害をもたらしたと聞いている。ジャックがやっているのはその再来なのだから。

「それだけのために……こんなことをしているのか?自分のやってることがわかってるのか!?」
「いいや、他にも目的はあるしむしろそっちの方が重要なんだけど――まあ、君がシリアに勝って僕の元にたどり着いたら教えてあげるよ。だから頑張ってね」

 気楽に、道楽のような調子でジャックは言い、声が途切れる。

「……シリア、ジャックの言うことを聞く必要なんかない。ジャックはトクサネのどこかにいるんだろ。二人で協力して探して――」
「うるせえっ!理屈じゃねえんだよ!!」
「!」

 協力を申し出るサファイアを、シリアは一喝の元に切り捨てる。そして熱に浮かされたように、悪鬼の如き執念をちらつかせて。サファイアを見た。

「ジャックはなんだか知らねえがてめえを買ってる。だがあいつに認められたのは――俺だけだ!俺だけじゃなきゃ、いけねえんだ!俺はてめえのことを認めねえ!」
「なんで、そこまで……」
「……おくりび山を出た後、俺は死に物狂いでバッジを集めようとした。だが自力で集められたのは一個だけ……ムロタウンのジムリーダーにさえすぐには勝てなかった」
 
 シリアが自分の過去を語りだす。それはサファイアにとっては驚きだった。自分たちはムロタウンでのジム戦に全く苦戦しなかったから。


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