第十八話 墓参りその十二
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「そうすればです」
「怪しい者達は」
「警戒されていると思い動きません」
「声をかけるだけでも違いますね」
「そうなのです」
こうマイラに話すのだった。
「こそ泥も同じです」
「盗賊もですか」
「夜に声をかけられますと」
「それで見られていると思い」
「仕事をせずに帰ったりしますので」
盗賊の心理だ、見られていないと確信しているからこそ盗みを働くが声をかけられると見られていると思う。それで仕事をしなくなるのだ。
「いいのです」
「それを密偵、刺客達にもしていますか」
「怪しい者達には」
「それも防ぐことになりますか」
「暗殺は隠れてこそです」
まさにというのだ。
「仕事が出来ますが」
「隠れていなければ」
「出来ません、確信がなければ」
隠れていると、というのだ。
「ですから」
「刺客も働くことが出来ず」
「マイラ様もマリー様も防げます」
「そうですか」
「ご安心下さい」
オズワルド公は畏まってだ、自身の主に言った。
「我々がいます」
「私には」
「左様です」
「では」
「はい、これからもお任せを」
「それでは」
マイラも頷く、そして聖堂に行く前に教会に立ち寄ったがそこにだった。太子と彼の側近達がいてその彼等もだ。
合流した、太子はマイラの横に来て言った。
「ではだ」
「旦那様もですね」
「同行させてもらう」
「お願いします」
畏まった面持ちでだ、マイラは太子に応えた。
「この度もまた」
「ではな」
「マリーですが」
マイラは夫に自分から妹のことを話した。
「聖堂の前で待っているとのことです」
「そうか」
「多くの供の者達も連れて」
「そうしてだな」
「私達を待っています」
「では姉妹でだ」
教会を出て再び聖堂への道を進みつつだ、太子は隣にいる妻に言った。
「参るといい」
「旦那様もですね」
「私も同席するが」
しかしというのだ。
「主ではない」
「では主は」
「そなただ」
マイラを見て彼女に言った。
「そなたしかいない」
「そうなのですか」
「そうだ、そなたがこの度の主だ」
まさにというのだ。
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