403部分:第五十五話 痛み分けその七
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ンはこのことを強く語った。
「シャカよ、そして次の戦いがはじまる」
「次の戦いですか」
「今度は南米になる」
そこだというのである。
「そこでの戦いになる」
「南米ですか」
「間違いなく八大公も出陣する」
そのことは最早言うまでもなかった。彼等の今の行動を考えていくと彼等のうちの誰かが出陣してそのうえで配下の狂闘士達も姿を現わすこともまたそうであった。
「だからこそ我々もまた、だ」
「黄金聖闘士を出陣させますか」
「おって話す」
シオンは言った。
「カミュが帰ってからになるだろう」
「カミュは数日のうちに帰って来ます」
シャカはこのこともシオンに告げたのだった。
「それからですね」
「どうやらトラキアも八大公の帰還を待ってから動くようだ」
彼等の動きもまた読んでいるシオンだった。これもまた彼等の過去の動きからである。それによって分析しているのである。
「だからこそだ。我々もまた」
「彼等の動きを見てからですか」
「厄介なのは今度の戦いは相手の動きを見ての戦いだ」
それだというのである。今の彼等の戦いは。
「先にこちらから手を打つことができないのが厄介な話だ」
「攻撃する側はその攻撃する場所を自由に選ぶことができます」
シャカがここで言う言葉はこうしたものであった。戦略に入る部類の言葉であった。
「この聖戦では攻める側は彼等ですから」
「我々はそこに向かいそのうえで彼等を倒す」
「そうです。我々は護る側です」
「その通りだ。攻める側ではない」
シオンはその玉座から述べたのだった。
「護る側にある」
「ですが教皇」
また言ってきたシャカだった。
「だからといって遅れを取っていてもです」
「遅れを取っていると思うか」
「彼等の思惑が何処にあるかだな」
「それがわからないことが問題ですが」
「今はできるだけのことをしていくしかない」
「はい。耐えていればまた道が開けます」
「そうだな。我々は必ず勝てる」
彼はまた言った。
「その時を待とう」
「はい、それでは」
こう言葉を交えさせる二人だった。彼等は今は座って戦っていた。しかしそれでも一歩も引いてはいなかった。少なくともその心は。
第五十五話 完
2009・9・21
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