第十八話 墓参りその九
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「女性では」
「その通りですね、しかし」
「それでもですね」
「マリー様は今の時点で軍から評判がいいです」
「そうなのですね」
「陸軍からも海軍からも」
その双方からというのだ。
「いいので」
「そのことを活かしてですね」
「ことを進めましょう」
「軍に対しても」
「軍は必要です」
まさにそれが為にというのだ。
「それは私とです」
「私が担います」
ロドネイ公も申し出た。
「軍については」
「公爵もですか」
「はい、私も担い」
「そのうえで、ですか」
「軍におけるマリー様への、そして王室への忠誠を絶対のものとしましょう」
「その手段は」
「給与です」
ロドネイ公はすぐに答えた。
「そして負傷した際の手当等もです」
「王室が担う」
「将兵達の生活を王室が保障するのです」
「そうしてですか」
「彼等の支持、忠誠を受け持つのです」
「そうしますか」
「これで如何でしょうか」
「わかりました」
これがマリーの返事だった。
「それでは」
「その様に王にお話します」
「そうしましょう、それとですか」
「それと、とは」
「今度のことです」
ロドネイ公はここでだ、マリーにこうも言ったのだった。
「マイラ様とのお墓参りです」
「父上、そして先王に対する」
「はい、そのことですか」
「何かありますか」
「我々もお供させて頂きたいのですが」
ロドネイ公は大司教とデューダー卿、キャスリング卿即ち自身の同志達共にマリーに仕える者達を見回して言った。
「宜しいでしょうか」
「警護でしょうか」
「それにです」
それに加えてというのだ。
「我々もこの目で間近に見たいのです」
「私と姉様の今を」
「そうです、そうしたいので」
だからだというのだ。
「宜しいでしょうか」
「わかりました」
これがマリーの返事だった。
「それでは」
「はい、ではお供させて頂きます」
「その様に」
「そしてです」
さらに言ったロドネイ公だった。
「マイラ様の周りに近頃異端審問官達がいて」
「新教徒をですね」
「監視しています、ですが」
それでもというのだ。
「しかしです」
「それでもですね」
「司教が手綱を握っているので」
「他国で行っている暴挙はしない」
「彼等は獰猛な猟犬、いえ狂犬です」
大司教が眉を顰めさせて言ってきた。
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