第36話『一致と相違』
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は新鮮味を感じる。
ルームシェアってこんな感じなのかと、何だか楽しく思えてきた。
ユヅキの伸びをする仕草を見て、晴登は初めての感覚に頬を綻ばせる。
「そういや、風呂場の石鹸が少なかったけど」
「え、そうなの? どこに置いといたかな…」
「じゃあ俺が捜すから、風呂に入ってていいよ」
「あ、うん。ありがとう」
この家の風呂場は、一言で言うと『清潔』だった。木造だっていうのに、新品のような輝きを持っていたのだ。きっと毎日きちんと掃除されているのだろう。とても好感が持てる。
ちなみに石鹸についてだが、そもそもこの世界にはシャンプーやら何やらは、存在しないようだ。よって石鹸1つで全てを賄わなきゃいけないのだが・・・
さっき、晴登が極限まで使ってしまった。次にユヅキが使えば無くなってしまうほどに。
決して悪意があったのではない。ただ、加減ができなかった、と言うべきだろう。
だって人の家の風呂を使ったのなんて、莉奈の家ぐらいだし…。
「お、あった」
ユヅキが風呂に向かってから、およそ10分。ようやく対象を台所付近の引き出しで見つける。やはり知らない場所での物探しは時間がかかった。
とりあえず同じ模様が描かれている5個の内、晴登は全て手に取った。
台所は風呂場から近い。だがしかし、この石鹸を風呂場に片づけた方が楽だろう、という粋な計らいである。
晴登は両手に石鹸を持ち、風呂場へ向かった。
「ユヅキ〜、少し遅くなったけど石鹸持ってきたよ」
「え!? あ、ハルト、ちょっと待っ・・・」
急な制止。
しかし、もうドアを開けるモーションに入っていた晴登に、それは届かなかった。
互いに沈黙。
その中で、石鹸がドサドサと落ちる音が響く。晴登は目の前の光景にただただ驚愕した。
目の前にはユヅキの姿があったのだが、その体躯は“少女”のものと変わりなかったのだ。
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