第36話『一致と相違』
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氷魔法はマンガでよく見かける、割と定番の魔法だ。技が派手で、しかも綺麗ということもあり、晴登も結構好みである。言わばロマン。
「それにしても、ハルトも魔法を使えるんだね! ボク以外で、この歳で魔法を使っている人を見たのは初めてだよ!」
「え、そんなに珍しい?」
「もちろん! よほど素質がないと、この歳じゃ身につかないよ!」
「てことは、ユヅキは素質があるってことか」
「ま、まぁそうなるのかな」
頬をかいて照れながら、目をキラキラと輝かせ、同志を喜ぶユヅキ。
なるほど、「素質がある」か。そういえば晴登自身も、終夜からそう言われていたのだった。
・・・と、それよりも、まずはこの場をすぐに離れるべきだろう。倒れている彼らの仲間がいないとも限らない。
「ユヅキ、とりあえず通りに出よう」
「うん、そうだね」
2人は駆け出した。
*
「いや〜ヒドい目に遭った」
「ゴメンね、ボクがあんな裏道通ったから…」
「いやいや、ユヅキのせいじゃないよ! それに、もう解決したから!ね!」
「うん…」
人の通りが少ない道の端まで逃げ、肩で息をする二人。
そして、先の喜びはどこへ行ったのか、自分のせいで晴登を危険な目に遭わせてしまったと、涙目で自己嫌悪に陥るユヅキ。
だが晴登は危険だなんてことはどうでも良く、ただただユヅキの無事を安堵していた。
「ところでさ、ユヅキってどこに向かってたの?」
ユヅキの慰めに努めていた晴登は話題を変える。
元々、ユヅキが行きたい場所があるということで来たのだ。とりあえずはそこに行って、さっきの事態を忘れよう。
「あぁ、そうだったね。えっと・・・うん、すぐ近くだよ!」
周りを見渡して一通り場所を確認したユヅキは、目的地への道順を把握する。
そして「行こ!」と一言、また晴登の手を掴んで走り出した。
「着いたよ」
「ホントに近かったな」
さっきの場所から100mといったところか。もはや走るまでもなかった距離だが、とにかく目的地にはたどり着いたようだ。
「ここが目的地…」
目の前に建つのは、特に周りと大きく違うという訳でもない、普通の二階建ての建物だ。だが日本じゃまず、お目にかかれないだろう。
「中に入るよ」
「あ…うん」
ユヅキはゆっくりとドアを開ける。外に負けない明るさが目に入ってきた。
「…時計屋?」
「うん」
明るさと共に見えたのは、晴登もよく知る『規則的に針を動かし、時を刻む道具』、すなわち時計だった。
学校の教室よりは面積の小さい室内を、壁一面に飾られた
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