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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第36話『一致と相違』
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決意したように呟く晴登。その右手には風が纏っていた。

できるかわからないが・・・『相手を脅す』というのはどうだろうか。
奴らの戦意を喪失させれば、後は容易に方がつく。
少々…いや、かなりの博打だけども、これ以外に助ける方法を晴登は思いつかなかった。

敵との距離は約5m。一瞬で間を詰めるには、厳しい距離だ。

・・・だったら、そもそもなぜユヅキは捕まったのだ?
音も立てずに奴らが後ろから迫ったということなら、奴らはかなりの手練といえる。
もしかしたら、意外に手強いかも・・・


「ちっ、ガキのくせに魔法は使えんのかよ。つくづく腹立たしいぜ」

「…は?」


ユヅキを捕まえている男が、吐き捨てるように言った。だがその言葉の中に、晴登は聞き逃せない単語を発見する。

『魔法』

単語こそ知っているのとは違えど、男の口ぶりはまさに“魔術”を知っているそれだ。

そうだ。よくよく考えればここは異世界。現実世界の道理と違うことなんて日常茶飯事ではないのか。
もし、目の前の男達が全員魔術を使えるとしたら・・・それこそ晴登に勝機はない。
「マズい」の3文字が晴登の頭を埋め尽くす。魔術に関しては初心者といってもいいくらいの練度の自分が、大人に敵う訳がない。
これでは、ユヅキを救うどころではない。


「一体どうすりゃ・・・」



「「ギャッ!!」」


「…へ?」


不意に響いた叫び声。
そのマヌケな声を上げた張本人である、目の前の3人組・・・いや、後ろの3人組も合わせてバタバタと地面に倒れる。


──何が起こった。


晴登は右手の風を解き、状況の整理を試みた。
先程まで一生懸命考えていたせいで、彼らの不可解な行動の理由が掴めない。


ただ、彼らの近くに転がっているいくつもの氷塊の存在を除いては。


この怪奇現象の実態は、アレと見て間違いはなさそうだ。
大きさは、晴登の拳を2回りは超えている。アレが頭から降ってきたとしよう。

・・・気絶どころか、死に至りそうだ。

では、その発生源。
…といっても、もう答えは目の前に居る。
倒れた彼らを静かに見つめ、申し訳なさそうな表情をしている──ユヅキ。まさかでなくても、彼の仕業だろう。


「これはユヅキがやったの?」


迷いのない直球な質問。尤も、答えの予測はついている。


「…うん。ちょっと加減し切れなかったけど」


一瞬の間を空け、淡々と答えるユヅキ。よく見ると彼の両手からは、冷気と思われる白い煙が漏れていた。


「氷の魔術…?」

「魔術……魔法のこと? 確かにボクの魔法は物を凍らせたり、氷を創り出したりするものだね」

「へぇ〜」

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