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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第153話 電気羊の夢?
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か、と言う意味で言うのなら、これが今の俺の答え。当然、好奇心もある。確かに水晶宮から渡された資料と、前世の俺からインストールされた情報もある。しかし、彼女から直接、教えられる内容と言う物はまた違った意味も持って居ると思う。更に、彼女の根本を作り出した環境を知れば、これから先、長門有希と言う名前の少女と付き合って行く上で色々な局面での判断材料にもなるでしょう。少なくとも、知らないのと知っているのでは大きな差があるはずですから。
 但し――。
 但し、詳しい内容まで聞きたいのか……と言うか、無理に聞き出したいとは考えてはいない。
 故に――

「もっとも、それは有希が自分から話したいと思うのならば、だ」

 無理をしてまで。心に負担を掛けてまで話す必要は一切、存在しない。
 実際、人工生命体に発生した心がその造物主に対して反乱を企てるまでに至る経過を、直接本人の口から語らせるのは酷だと考えているから。俺ならば、そんな過去があれば忘れたいと思うから。
 俺のように肉親との縁が薄い訳ではない。俺は少なくとも今生での両親との間に溝があった訳でもなければ、良い思い出がない訳でもない。

 確かに多少の反発を覚えた事だってある。それはあって当然だと思うが、自らの親を此の世から消そうとした事など一度もない。そもそも、今回の人生でこう言う道。……水晶宮所属の術者になった理由は、その両親の敵討ちが最初の理由だった。
 俺の立場から考えると、そんな九百年も前に権力の座から転げ落ちた一族の再興などと言うくだらない目的の為に殺された俺の両親や、その他の人々の無念を晴らす為の手段。こいつ等に付いて行けば、こいつ等の術を会得出来れば……と打算的に考えた結果。
 もっとも、冷静に成って考えてみれば、俺にそんな事が出来る訳はなかったのだが……。

 最後の最期の部分で躊躇い、結局、死にたがっていた。……更に言うと自らが仕える主を魔道に堕としたくないが故に、俺の手で止めて欲しがっていた奴の最期の願いにすら気づく事が出来ずに、黄金龍の暴走を引き起こして仕舞ったあの頃の俺に対して、胃から逆流して来た苦い物を再び嚥下した時のような気分に囚われる俺。

 視界の隅では未だ当たり前のように無数の火花が舞っていた。赤が、黄が、そして緑が小さいながらも見事な花を咲かせて、そして直ぐに散って行く幽玄の世界。しかし、それはまるで遠い異国の出来事のように今は感じられた。
 ただ――。ただ、矢張り今宵、世界は美しい。

 成るほど。やや苦笑を浮かべるかのような形に口元を歪めて見せる俺。過去の俺が作り出した陰気を振り払う為にも、気持ちの切り替えは必要。その為には、例えポーズに過ぎなくても皮肉屋の仮面は有効だと思う。
 それに……と、敢えて強く心の中で考える俺。過去を悔やんだと
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