第6章 流されて異界
第153話 電気羊の夢?
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希が忘れる訳はないので……。
普段と変わりのない表情及び雰囲気でそう答える俺。その俺を見つめる有希。
発しているのは少しの負の感情。更に、かなり大きな疑問。
「どうした?」
まさか、先ほどのくちづけの際の云々……と言う言葉に対して、具体的な行動が為されていない事に対して不満があるとも思えない。
そう考えながら、訝しげに問い掛ける俺。もっとも、本当はこの体勢の方。お風呂の中で、とは言っても、直接肌が触れ合う……どころか、俺の太ももの上に直接裸の彼女が座っているような体勢で居られる事の方が、俺的には問題があるのですが。
色々と……。
先ほど、彼女が動いた際も実際は……。
「普通の場合、他人の記憶を無断で覗き込むような真似をすれば、責められても仕方がないと思う」
一瞬、迷いのような気配を発した後、真っ直ぐに俺の瞳を覗き込みながらそう尋ねて来る有希。
そう言えば、以前に有希自身が、昔の自分の事を俺に知られたくはない、……と言っていたか。彼女の立場からしてみると、当時、自らが為した事はもしかすると少し心に重荷を背負うような事なのかも知れない。
自分の過去は知られたくはない。しかし、俺の過去は知りたい。
そして結果、自らの欲望に負けた……と考えても不思議では有りませんから。
ただ俺の方から考えると、出逢った頃は何の望みもない、……と言う強い諦観の気配を発するのみだった彼女が、現在では普通の人のように某かの欲望を持つに至った事の方が重要だと思うのですが。
もっとも……。
「今回の場合はどう考えても不可抗力やろう?」
確かに心の中を無断で覗き込まれて平気な人間などいないでしょう。但し、今回の場合は不可抗力。そもそも、俺が寝る前に思考の部分が漏れ出ないようにする術を組み上げて、行使して置けば良かっただけ。但し、その場合、もし俺が夢の世界の事件に巻き込まれて、精神=魂魄のみが囚われのような状態となった場合には、残された式神たちの対処が遅れる事となるので、思考を完全に遮断して仕舞うのは多少の危険が付き纏う可能性もゼロではないのですが。
それに……。
それに、覗き込まれたとは言っても、今回の場合は普段の思考などではなく、俺にインストールされていた過去の戦いや勉学の記憶。健全な男子高校生としての思考まで覗く事が出来たとは思えない。……と言うか、覗く事が出来たとは思いたくない、が正しい表現だけど。
そう考えると、それらはむしろ、魔法を使用する相手との戦闘経験の少ない有希に取ってはプラスの効果を発揮した……と思う。現在の俺を教育する為に……。おそらく、聖戦の結果、死亡すると言う未来を回避させる為にアンドバリの指輪を湖の乙女は渡したのでしょうが、それ以外の効果も発揮
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