第6章 流されて異界
第153話 電気羊の夢?
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ではなかったと思うから。もし、俺が彼女の立場ならば……の話なのだが。
無暗矢鱈と長い人生。しかし、その大半がループする時間。同じ時間を繰り返し、繰り返し経験させられ続け、更に、その時間=経験も、彼女自身が楽しいと感じて居たとは思えない内容。
もし、少しでも楽しいと感じていたのなら、思念体に対しての反乱に等しい行動など起こすはずはないと思う。
もっとも、最初は楽しいと感じて居たとしても、それが十回、二十回と続けば、それは単なる苦行とイコールで繋ぐ事が出来るようになるとも思うのだが。
そしてもうひとつのキーワード。『俺の傍らで眠る時』の方。
俺と有希の間には霊道と言う、目には見えないけどしっかりと繋がっている道が存在している。基本的にコレは、彼女が生きて行く上で生成し切れない霊気を俺の方から補給する為に使用される物だけに、彼女が現世で実体化している間は常に活性化させている必要がある。
当然、この霊道を通じて【念話】に因るやり取りも行われる事になる。
……そして当然のように、俺は普通の人間と同じように夢を見る。いや、俺が最近見ている夢は単なる夢などではない。
それは――
「最初は不思議に感じた」
以前に訪れたあなたが見て居た夢の中にも、確かに過去の記憶に類する物は含まれていた。
「でも、今回のあなたが見る夢はあまりにもリアルで――」
俺の予想を肯定するかのような彼女の言葉。つまり、有希が見て居た夢と言うのは、俺にインストールされ続けていた過去の記憶。
常に彼女とは繋がった状態である以上、これはある面では仕方がない事だと思う。確かに、目が覚めている間ならある程度の情報の秘匿は可能なのですが、眠っている間は眠る前に特別な術でも行使していない限り、俺の考えている事、強く感じて居る事が彼女に伝わって仕舞うのは仕方がない。
もっとも、俺にインストールされ続けていた記憶と言うのは、大半が戦いに必要な記憶。特殊な術や高度な術を習得、行使した際や、その物ズバリの戦いの最中の記憶。何らかの勉強をした思い出や、読んで居た書物の内容などが主だったと思う。
まして、そもそも、俺に過去の俺の記憶をインストールし続けていたのは、未来の長門有希か彼女の師匠が作り出した記憶媒体。もしかすると、そのアンドバリの指輪から今の長門有希に対しても何らかの記憶のインストール作業が行われていたとしても不思議ではない。
俺は湖の乙女から言われたように、アンドバリの指輪を常に身に付けて居ましたから。
「成るほど。それなら、俺の読んだ本の種類や内容を知っていたとしても別段、不思議でもないな」
何を知られて居て、何を知られていないのか。その正確な所は分からないが、一度、見た内容を有
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