第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#11
PHANTOM BLOOD NIGHTMAREV 〜Glass Melody〜
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「跡形もなく消し飛んだか……
しかしこれも命を賭けた勝負、悪く想うな」
憂いを抑えた表情でそう呟いた花京院は、
次なる戦場へと踵を返す。
しかし。
「ククク……」
濛々と立ちこめる粉塵の中で、自分の声がした。
コツコツと、手負いでない者の足音が冷たく響く。
「無傷……だと……!?」
やがて自分の前に現れた自分に、
花京院は今度こそ驚愕を露わに口唇を震わせた。
絶対の自信を持っていた流法
DIOにすら通用すると自負していた能力が、
完全に封殺された事に花京院の自信はガタガタに崩された。
標的の周囲、街路の彼方にまで夥しい着弾痕が穿たれているのに、
その者の立っていた場所だけ神の 「聖域」 のように僅かな傷もない。
一体どのように? 同じ流法を使っての相殺は有り得ない。
余りに威力が凄過ぎるので、相乗反作用に拠って互いが消滅するだけだ。
「クククククク……すっかり困惑仕切った表情だな?
それはオレの 『能力』 の本質が掴めていないという何よりの証。
賢明な男だと聞いていたが、これは単なる買い被りだったかな?
クククククククク」
嘲るように、もう一人の自分が両腕を組んで笑う。
怖気の走る光景だったが、花京院はすぐさまに次の戦闘思考に移る。
「ボクの能力をコピーするのならば、
『相手の知らない能力を使えば良い』
どれだけ巧く盗作しようと、
その作品の 「続き」 は本物にしか描けない」
(――ッ!)
自分の思考と寸分違わぬ事を、目の前の花京院が口にした。
「無い知恵絞ってよく考えたが、残念ながらソレは無理だなぁ〜。
我がスタンドの、『真の能力』 の前ではなぁッッ!!」
そう言って差し出した花京院の右腕が、突然ドロリと融解し始めた。
やがてその体積比を無視して膨張した濃い黄色の液体が、
粘着質な質感を伴って襲い掛かる。
「クッ!」
飛び退いて間一髪躱した足場に、その黄色の液体が雪崩れ落ちアメーバのように
形容を変え路上に拡散していく。
流動するスタンドが這い擦ったその後は、
強酸で蝕まれたかのように煤煙が立ち上り表面が爛れていた。
「エメラルド・スプラッシュッッ!!」
未知の脅威に怯むよりも先に、花京院は中空で己が流法を撃ち放つ。
もう二度と 「恐怖」 には屈しないという、
旅立ちの前に立てた誓約により研ぎ澄まされるスタンドパワー。
しかしスピードもキレも活性したその翡翠結晶弾は、
海面に落下した豪雨のように流動するスタンドに取り込まれ
そして呑み込まれた。
半透明の内側で砕かれ吸収されていく結晶群。
それに伴い流動するスタンドは、
生き物のようにサイズを更に膨張させていく。
「スタンドパワーを、喰って
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