おくりび山。過去との決別
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われた、その時だった。
家の中にいるのにも関わらず地面を打つ音が聞こえるほどの大雨が降ってきた。さっきまで外にいた時は、雨どころか雲がほとんどないような快晴だったというのに。
「何事だ……?」
ルビーの祖父が外を見る。すると、雲から覗く一瞬の晴れ間が、その目を焼いた。瞳を抑える。
「これは……まさか、十年前と同じ?」
突然の異常気象を疑問に思うと、サファイアのポケベルに電話がかかってきた。相手は――
「やあ原石君、お久しぶりだね?もうショックからは立ち直ったかな?」
「ジャック!!」
「今凄い雨と日差しが交互に起こっているだろう?めんどくさいから単刀直入に言うと、僕が犯人なのです」
「……なんでこんなことを!」
サファイアが聞くと、君は良いリアクションしてくれるなあと満足そうに呟いた後。
「それは秘密。ボクを止めたければトクサネシティにおいで。――シリアも、来るはずだよ」
「……!!」
シリアと再び会うのが、怖くないといえば嘘になる。だけどもう、自分は自分の道を行くと決めた。
「わかった。……待ってろよ」
「うん、待ってるよ。カイナシティの時よりもさらに、楽しいバトルをしよう。そして……」
そこで通信は切れた。
「ルビー。俺……トクサネシティに行く。ジャックを止めてくる」
「やっぱり原因は彼か……わかった。ボクもついていくよ」
「いや、ルビーはここにいてくれ。この日差しは強すぎる。ルビーの身体には毒だ。それに……家族ともいろいろやらなきゃいけないこと、あるんだろ」
「……そうだね。それじゃ」
ルビーは自分のモンスターボールを取り出す。中にいるのは、サマヨールだ。
「この子を君に預けるよ。……応援してるだけじゃつまらないしね」
「……わかった、ありがとう」
サマヨールがルビーからサファイアに手渡される。すると――サマヨールがボールから出てきて、その体が光だした。
「これは……進化の光?」
「そうか、兄上の渡してくれた霊界の布は……こういうことだったんだね」
サマヨールは、体を一回り大きくしたヨノワールに進化した。
「よし、それじゃあ頼むぞヨノワール。それに……俺の仲間たち、みんな」
サファイアは玄関のドアを開け、フワライドを呼び出す。ルビーはサファイアに顔を近づけて……その頬に、そっとキスをした。サファイアの顔がわずかに赤くなる。ルビーもだ。
「……さすがにこれは、恥ずかしいな」
「ふふ、ボクもだよ」
「じゃあ行ってくるよ、ルビー」
「うん、頑張ってね」
サファイアはおくりび山を旅立つ。豪雨と強い日差しにさらされながら、
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