おくりび山。過去との決別
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
てくれる人はいるのだと」
例えば自分たちと本気で戦い、その腕を認めてくれたイグニス。町を守ったことを心から感謝したネブラ。そして、初めて会ってから、旅で再会してからずっと、自分を支えてくれたサファイア。彼がいなければ、先のジムリーダー二人の言葉もルビーの胸には響かなかっただろう。そう思える。
「だから、ボクは今までのあなたたちの言葉を否定します。ボクには確かに巫女としての才能はあまりないのかもしれない。だけど……出来損ないだの、屑だのと呼ばれる筋合いはこれっぽっちもないのだと」
紅玉の瞳を開けて、まっすぐ家族たちを見据える。その眼差しの鋭さに、家族たちは思わず怯んだ。
「勿論、すぐに家を出ていくことはしません。巫女としての使命は全うするつもりです。だけどあなたたちがなおもボクをみだりに否定し続けるのなら……その時は。ボクは彼についていきます。一生、この家に戻ることはないでしょう」
ルビーが言い終えてふう、と息をつく。家族は震え、まともに言い返すことが出来ないようだった。下手をすれば、本当に跡継ぎの娘が家を出ていってしまう。それはシリアという前例がある以上、杞憂でもなんでもないことだった。
「ああ、それと。今はまだ彼の年が年なので約3年後の話になりますが……」
声を穏やかにして、ルビーが言う。今度は何を言いだすのかともはや戦々恐々の家族たち。ルビーはサファイアの顔を見て小さく微笑んだ
「ボク、彼と結婚するつもりですので。駄目だというのなら、やはりその時は出ていって勝手にさせてもらいます」
「……な、なにを!?まだ15の分際で……」
「ええ、まだボクも彼も15です。だから3年後と言っているんですよ。わかりませんか?今まであなたたちの暴言や暴行を浴びせられた分、これくらいの我儘は通させてもらいます。……ね」
「ああ、ルビーにはそれくらい言う権利がある。……勿論、俺はいいぜ」
「ふふ、そう言ってくれると思ったよ」
硬い二人の決意と愛情を見て、家族たちはわなわなと震えている。どうすればいいのか、思いつかないようだった。
「さっきも言いましたが、すぐに出ていくことはしませんので。ゆっくり考えて結論を出してください。ボクをどうしたいのか」
「わ……わかった。考えてやる。だから出ていくな」
父親が観念したようにそう言った。考えてやるとは言うが、実質答えは決められたようなものだろう。彼らは跡継ぎを失うわけにはいかないのだから。
「さて……ありがとう、サファイア君。君のおかげでボクは……救われたよ」
「いや、ルビーがいい奴だからこそさ。そうだろ」
「……うん、そうだね」
家族の目の前にも関わらず抱擁を交わす二人。全てが上手く解決したと思
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ