399部分:第五十五話 痛み分けその三
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第五十五話 痛み分けその三
それで結果として諦める様に。こう述べたのだった。
「今は考えても仕方のないことの様だな」
「その通りだな」
サガも彼の言葉に対して頷いてみせた。
「今の時点で考えても仕方のないこともある」
「一つ思うのは一気に聖域に攻めて来ないのは何故かだが」
それでもこのことについても考えもするのだった。
「それは何故か」
「一度総力を挙げて聖域に攻め寄せてきたな。そういえば」
サガは今のカミュの言葉からこのことも思い出したのだった。考えてみればそうしたこともかつてはしてきた。しかし今はそれをしないのである。
サガにとってみても今こうして狂闘士達が各地で自分達を誘き出す様にして戦う理由がわからなかった。そのことの戦略的必然性がどうしてもわからなかったのである。
それで彼も考えてみたが。やはり答えは出なかった。
「やはりわからないな」
「そうか。貴方もか」
「やはりもう一度聖域に攻撃を仕掛けるのが妥当だ」
彼は言うのだった。
「若しくはだ。誘き出すにしてもだ」
「あえて街や一般市民を狙いそのうえで我等を誘い出す」
「自分達の有利な場所でだ。そうすることも可能だ」
サガはそうしたやり方についても述べた。
「むしろその方が彼等に相応しいと思うのだが」
「破壊と殺戮こそを無上の喜びとするならば」
「それならば妥当だ。しかし今はどの場においてもただ誘い出すだけだ」
「それがわからない」
「私もだ」
カミュにしてもサガにしてもどうしてもわかりかねることであった。
「それについてはな」
「何かあるのは間違いないが」
それは察しがつくことだった。何もないのに戦うということは有り得ないからである。
「しかし。それにしてもだ」
「考えても今はわからないであってもな」
「考えてしまうか」
「あの、それでですけれど」
「ここで考えても仕方ないですし」
考え続けようとする彼等に対して青銅の者達がそれぞれの後ろから告げてきた。
「もう帰りませんか」
「戦いも終わったことですし本当に」
「むっ、そうだな」
「確かにな」
二人も彼等の言葉に気付いて顔を向けるのだった。戦いは終わったがついつい話に夢中になってしまっていたのである。やや迂闊なことに。
「それでは戻るとするか」
「ここに居続けても仕方のないことだ」
「ええ。それじゃあ」
「帰りましょう」
青銅の者達は笑顔で二人の黄金聖闘士達にまた告げた。
「それで帰ったらですけれど」
「途中サンクトペテルブルグにも寄りますか」
「いや、フィンランドから帰るつもりだ」
しかしカミュはこう彼等に告げたのだった。
「そこから空で帰るつもりだ」
「あれっ、じゃあ犬達は」
「どうなるんですか?」
「
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