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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十二話 戦いに変わる日
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けど、ジュエルシードが関われば話は別」
「え?」
母さんの言葉に、私は思わず耳を疑った。
ジュエルシードが関わればって、それじゃ……。
「どうかしたの?」
「……なんでもない、よ」
「そう。 なら、さっさと行きなさい。 もしこれ以上遅くなるようだったらそれも含めてフェイト……あなたにはきついお仕置きをしなくてはいけなくなるから」
「は、はい」
「あなたも行きなさい」
「ほぉ〜い。 んじゃ、行ってきヤース」
母さんの言葉に怯える私に対して、気にしてないかのように軽いノリで返すイル。
対照的な私達は、違う歩幅で部屋を後にした。
「もう少し……もう、少しなのよ」
出る前に、母さんが何かをつぶやいたような気がした。
だけど私にはそれを聞く余裕なんてなくて――――。
(私……どうしたら)
イルと“彼”が戦う姿を想像してしまい、全身が震えるほどの恐怖に襲われた。
廊下で待っていたアルフにイルの説明をしたら、猛反対していたけど、私たちに母さんの考えを覆すことはできなくて。
「じゃ、俺ぁ勝手にやらせてもらうから。 んじゃ」
そう言って彼は姿を消した。
母さんからジュエルシードに関する以外の攻撃行為がないって説明を受けてなかったら、その単独行動さえも恐怖の一つだったかもしれない。
イルから感じた恐怖から少し気を抜きつつ、私とアルフもジュエルシードを求めて、再び海鳴に戻った――――。
*****
「――――よし、いい感じだッ!」
《お見事です》
朝、台所に立つ俺とアマネは歓喜の声をあげていた。
短い人生だけど、今がランキングで上位に入るくらい嬉しい瞬間だ。
手作り弁当ができました。
「長かった……冷めても美味しいハンバーグ、エビフライ、きんぴらごぼうに炊き込みご飯。 形が崩れないだし巻き卵や、ドレッシングが零れないサラダ!」
完璧だ。
完璧な、パーフェクト・ベントーが完成したんだ!
一人暮らしを初めて二〜三ヶ月経つが、ようやく成果が出たんだと思うと嬉しすぎて朝から興奮してしまう。
眠気なんて欠片もないし、疲労感もむしろ幸福感の一部として受け入れられそうだ。
柚那のご指導もあってここ最近の料理スキル向上が実を結んだときがきた。
そう、これこそ人生で最も喜ぶべき瞬間――――、
《ちなみにその弁当は、誰に食べさせる予定なのですか?》
「――――ヱ?」
喜びに満ちた世界は、アマネの一言にして氷河期を迎えた。
食べさせる相手?
………………。
《……味わって食してください》
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