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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百八十六話 勇者の中の勇者
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れは三十年は先の事になりそうだ。
装甲擲弾兵第二十一師団はレンテンベルク要塞第六通路を確保した。
帝国暦 487年 12月24日 帝国軍総旗艦ロキ エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
レンテンベルク要塞の攻略に成功した。リューネブルクが第六通路を確保し、核融合炉を押さえた事で敵はこれ以上の抵抗は無駄だと思ったようだ。あっさりと降伏してくれた。後詰が無いのだ、最初から戦意は低かったのかもしれない。
リューネブルクは英雄だ。皆がオフレッサーを倒した彼を褒め称えている。もっとも本人は必ずしも嬉しそうではない、何処か困ったような表情をしている。
オフレッサーとの間に何が有ったのか、他者には分からない何かが有ったのかもしれない。だとすれば辛いだろう、オフレッサーが死んだ今、これからはリューネブルク一人で背負う事になる。
リューネブルクが俺に“御心配をおかけしました”と謝って来た。俺は黙ってただ頷くことに留めた。口を開けば何を言い出すか分からなかったからだ。
そんな俺を見てリューネブルクが苦笑する。なんとなく見透かされているようで面白くなかった。気がつけばリューネブルクを睨んでいた。
そんな俺達をどう思ったか、男爵夫人がリューネブルクに話しかけた。一騎打ちの最中、俺がリューネブルクのことを心配して大変だっただの、怒って手が付けられなかっただの、詰まらない事を言うな。
男爵夫人の話にリューネブルクは困惑し、俺は必死で口を閉じた。周囲は皆笑いを噛み殺している。全く碌でも無い連中だ。俺は疲れたといって自室で休む事にした。俺が艦橋を出ると皆の笑い声がする。全く碌でも無い連中だ。
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