動き出す絶望 前編
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…勝ったぞ。一応な」
「?妙に含みのある言い方すんな。まさか試合でなんかあったのかよ? 」
「いや、大きな出来事は無かったな。強いて言えば、試合終了後にお前がぶっ倒れた事ぐらいだ」
「…………試合終了後にか? 」
「ああ。試合が終わった途端に、糸が切れたようにな。他の皆も心配してたぞ」
「……心配かけて悪かった」
「それは俺じゃなくてチームメイトに言え。ちなみに、今は観客席にいるはずだ。今から行けば間に合うかもな」
「分かった。わざわざありがとな」
そう言い、走って皆のところへと向かう。
「…………サオトメは試合終了後って言った。けど、俺は試合の途中から意識は無かった。もしかしたら、アイツが言ってたのはこの事か」
だとすると、心当たりはある。意識はないのに、なぜか物事が進んでいたことが。
ーーー−−
カグラの姿が見えなくなったのを確認し、一人呟く。
「まさか、実際にあの薬を飲んでる人間が近くにいるなんてな。正直信じたくないが、見間違えるはずがないもんな」
アイツが飲んでた薬は、麻薬とかそういう類いではない。けど、これはあまりにも厳しい現実だ。
だが、カグラは薬については一切教えられてない。孤児院の人なりに、教えられない理由があっての事かも知れないな。
「けど、これであの原因はなんとなく分かった。あとは本当かどうか確認するだけだな」
缶コーヒーを飲み干し、ゴミ箱に捨てる。
「アイツの───は、アイツの───い」
ーーー−−
「はあ……はあ……」
観客席の所へと着くと、ヒメラギ達が試合を観ていた。
「ん?…………カグラ!? 」
「もう大丈夫なの? 」
「レイ…………ムリしてナイ? 」
「いきなり倒れたから、驚いたぞ」
「ああ、大丈夫だ。心配かけて悪かったな」
…………気のせいか?なんか、心なしか距離を置かれてる感じがするな…………。
「カグラ君、とりあえず座ったら? 」
「あ、ああ」
アマネに促され、隣の席に座る。
「なあアマネ。俺、倒れた以外でなんかしたっけ?なんか距離を置かれてる感じがすんだけど」
「…………気のせいでしょ? 」
「…………その様子で気のせいって言われても納得いか───」
「気のせいって言ってるでしょ?これ以上追及してきたらセクハラされたって叫ぶから」
俺が言い切る前に遮られた。
「───っああ、分かったよ! 」
俺は若干イラッとし、追及するのを止める。
そのまま試合へと目を向けようと顔を動かした際に、ヒメラギ達のなんとも言えない表情をしていたことを見逃さなか
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