動き出す絶望 前編
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のようだ。そろそろ目覚めてもらおうか』
男は右手で指パッチンをすると、黒くなっていた空間が、より広がっていった。
『そうそう。僕以外にも知ってる人達はいるよ。それは、とても身近な人物だ。その人達は、あえて君に黙っている。レイがレイの過去を思い出させないようにね…………』
「っ!どういうことだよっ!? 」
手を伸ばして男を掴もうとする。しかし、男はニヤニヤしながら、煙のように消えていった。
ーーー−−
「はっ!? 」
目を開けると、俺は見知らぬ天井へと手を伸ばしていた。
「どこだここ? 」
上体を起こして周囲を見渡すと、どこかの医務室にいるようだ。
「てか待て。なんで俺はこんな所で寝てんだっけ? 」
思い出そうと頭に手を当てると、天山学園とバトルしていたことが頭に過る。しかし、なぜか途中から記憶が全くない。
「確かサクラがやられて、ヒメラギが相討ちして…………それと、セシリアもやられたんだ。そこからは…………」
そこからは、全く思い出せない。とりあえず、医務室から出て皆に聞いてみっか。
ベッドから抜け出して医務室を出ようとすると、誰かと激突した。
「いって! 」
「あっ、悪い。大丈夫か…………ってカグラか。もう起きても大丈夫なのか? 」
「サオトメかよ………」
ーーー−−
「ほらコーヒー。微糖でよかったか? 」
「ああ。サンキュー」
椅子に座っていると、サオトメから缶コーヒーを渡され、プルタブを開けて口に運ぶ。サオトメは壁に寄りかかり、俺を見てくる。
「カグラ。聞きたいことがあるんだが、聞いてもいいか? 」
「なんだよ? 」
「お前が飲んでる薬って、なんだ? 」
「ん?ああ。俺もよく知らねぇけど、定時にこの薬を飲めって、耳にタコが出来るほど言われてっから飲んでるだけだ」
「誰にだ? 」
「孤児院でお世話になってる人からだよ。それがどうしたってんだよ?言っとくが、別にヤベェ薬とかじゃないのは確かだかんな」
「それぐらい分かってる。飲んでたら、もっと分かりやすいからな。ちなみに、その薬は今持ってるのか? 」
「?ああ、一応ポケットにいつも入れてっから」
「見せてくれないか? 」
「?ああ」
ポケットから薬を取り出し、サオトメに渡す。
「 !…………成る程な。そういうことか」
サオトメは薬を見ると、一瞬驚きの表情をしたが、すぐに一人納得したような表情になる。
「ありがとうな。返すぞ」
薬を受け取り、ポケットの中へと入れる。
「そういえば、試合はどうなったか分かるか? 」
「………
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