チャンピオンの本気
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それはサファイアが見てきたシリアの戦いかたからは全く違っていたからだ。
「シリアがこんな・・・相手になにもさせずに、ただ一方的に止めを差すなんて」
たとえばネビリムとの戦いでは、敢えて相手にスキルスワップと特性を使わせた戦いをすることでバトルに緊張感を産み、そして最後にスキルスワップで止めを差すというパフォーマンスを見せつけた。
だが今のシリアは違う。相手に極力なにもさせずに封殺する、どんな相手にも勝つ為の戦術だ。あの怨みをまともに受けてしまえば、どんなポケモンだろうと取れる手段は悪あがきのみになってしまうだろう。
「こうなったら一撃で決めるしかない!ジュペッタ、残影無尽撃だ!!」
「ーーーー!!」
イグニスとネブラとの戦いで勝負を決めたサファイア最大の必殺技。ジュペッタの影が分身し無数に増え、その影が伸び、全てを切り裂く鋭利な刃となるーー
「ジュペッタ、呪いからの怨念!」
シリアが指示した次の瞬間。サファイアのジュペッタを巨大な『釘』が貫いて、動きが止まった。呪詛の渦巻く釘はまるでネジのようにも見える。
「怨念の効果発動。体力を零にすることで、相手の技ポイントを零にする 」
本来怨念の効果は相手から受けた攻撃によって瀕死になったときに発動するものだが。シリアはあえて呪いで自身の体力を削ることで無理矢理発動し、今向かってくる技のポイントを零にした。よってサファイアのジュペッタは金縛りにあったように動けないというわけだ。そしてその間にも、呪いの効果が体力をどんどん減らしていく。
「ずっとシリアを目指して、四天王にも勝ったのに、こんなのって・・・」
相手を封殺するためなら仲間を意図的に瀕死にするチャンピオンの真の姿に、バトルでも精神的にも叩き潰され。目の前が真っ暗にもならず、ただただ目の前の事実がサファイアを打ちのめす。
「残念だけど、これが現実だよ・・・辻斬り」
ジャックの最後の一撃は切腹した者への介錯のように優しく残酷で。サファイアの、シリアへの憧れを全て絶ちきったーー
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