チャンピオンの本気
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口火を切ったのは、ルビーの方だった。
「これはこれは失礼しました兄上。ですが随分と物騒な会話が聞こえたものですから。それにーー」
ルビーがサファイアを肘でつつく。サファイアは決心して、シリアを真っ直ぐ見つめて言った。
「シリア。俺達、イグニスに・・・シリアが戦った四天王に、話を聞いたんだ。シリアがチャンピオンになる前のこと。なったあとのこと」
「・・・!」
シリアは確かに、驚いたようだった。だかそこに罪悪感や動揺といったものは感じとれず。浮かんだ笑顔はルビーが知らなかった、サファイアがよく知っている笑顔だった。
「・・・まさか無口な彼が口を割るとは思いませんでしたよ」
認める。シリアの、本人の口からあの話は事実だと肯定される。
「それじゃあ・・・ホントにそうなんだな!?あんたの見せてたバトルは、自分の身を守るための嘘で俺達のことずっと・・・騙してたっていうのか!?」
「・・・」
「答えろ!答えてみろ、シリア!!」
サファイアの目頭は熱くなっていた。自分をあんなにも魅了したシリアのバトルが本人にとって偽りでしかないなんて。彼を夢見て、目指してきた少年にとってあまりにも辛すぎる現実だった。
「まあまあ、落ち着いてよ。折角ポケモントレーナーどうしが出会ったんだ。となればやることは一つ、ねっ?」
ジャックがサファイアとシリアに割って入り、自分のモンスターボールを取り出して見せる。あどけない笑みは、幼子のようであり、老人のようだった。サファイアとシリアが何かいう前に、さっさと仕切ってしまう。
「ルールはダブルバトル。ポケモンはみんな一匹ずつでいいよね。さあ出ておいで、アブソル」
「・・・ジャックさん、こうなること、分かってて私を呼び出したんですか?」
「なんのことかなぁ〜、それとシリアは折角だし君の『本気』を彼らに見せてあげなよ。そうすればあの子も納得してくれるかもしれないよ?」
ジャックにそう言われたシリアは、サファイアとルビーにも聞こえるくらいの音ではっきりと舌打ちした。目がつり上がり、サファイアの知らない、ルビーのよく知ったシリアの表情になる。
「・・・結局俺はあんたの手のひらで踊ってたって訳かよ。ーー出てこいジュペッタ」
「ーーーー」
シリアのエース、ジュペッタが表れる。その笑い声は今まであんなに憧れてきたのに、今は騙されていた自分を嘲笑うかのようにも聞こえた。
「・・・どうするサファイア君?彼らはやる気みたいだけど、別にこんな勝負受けなくたって・・・」
ルビーはサファイアを気遣って言う。今のサファイアにいつも通りのバトルが出来るとは思えなか
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