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幽雅に舞え!
激突、そして明かされる真実
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 サファイアが驚愕し、ルビーは納得したように頷いた。それについてイグニスとネブラは訝しげな顔をしたが、構わず話を続けた。

「あいつはゴーストタイプの持つ悍ましさと状態異常や呪いをふんだんに使い、チャンピオンの座にまでのし上がった……かつての奴は、間違いなく人を楽しませるためではなく勝つためだけに、勝利がそこにあるのなら相手の心臓をもぎ取ってでも奪い取る……そういう奴だった」
「そんな……じゃあなんでシリアは変わったんだ?あんたはそれを知ってるのか?」

 サファイアが思わず疑問を投げかける。イグニスは無論、と断じる。だから黙って聞けとその目は言っていた。

「そして頂点に上り詰めたあいつは……今度はその立ち位置を守るためにあらゆる手段を講じた。その中の一つが、今のあいつの戦い方……見るものを楽しませるそれだ。あいつにとって、人々を楽しませることは自分の位置を守るための手段でしかなかった……それでも俺はいいと思っていた。仮初の姿でも、人々は――お前のようなものが楽しんでいるのなら、いずれ本当に心の底から人々を喜ばさせられるものが現れるだろうと」
「イグニスはずっと、貴様のような者が現れるのを待ち望んでいたのだ。態度には出さんがな」
「……」

 イグニスの目が余計なことを、と語っている気がしたのは、否定しないことから気のせいではないのだろう。

「そして奴は次に……チャンピオンでありながら人々を楽しませる存在として自身を企業……デボンコーポレーションに売り込んだ。それにより、奴の地位は不動のものとなった。実力があり、華があり、自分の地位のためならどんな労苦をも惜しまないあいつは企業にとって金の成る木だったからな」
「デボンコーポレーション……だからエメラルドはシリアを嫌ってたのか」
 
 エメラルドは確かに「俺はあんなチャンピオンにはならない」と言っていた。その理由がようやくわかった。彼はシリアの態度が偽りであると考えているのだ。

 だがサファイアは、テレビで見たシリアのバトルが……カナズミで自分と会って話したシリアの態度が、演技だとは思えなかった。思いたくなかった。

「それでもチャンピオンになった当初の奴には、演技なりに人を楽しませようという……強迫観念にも似た熱意があった。何がやつをそこまで突き動かしたのかは知らん。だが、チャンピオンとしての立場が盤石になり、テレビで行われるホウエンリーグ決勝戦も八百長となってから……奴からは、闘志が感じられなくなった。あの亡者のごとく執念が……」

 そう口にするイグニスは、何か大切なものを失った時のような悲しそうな表情をしていた。それはそうだろう。ホウエン地方のポケモントレーナーの全ての興味の場であるホウエンリーグがただチャンピオン
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