第三十六話 お墓地その八
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「ここって落ち着くんですよね」
「中に入るとっていうのね」
「はい、とても」
「怖い感じはしないでしょ」
「少なくともお昼にいますと」
「夜は閉まるしね」
門が閉じられてです。
「お昼にしか行かない場所ね」
「そういえばここ管理人さんもいますね」
「住み込みでね」
その人のお家もあります。
「おられるのよ」
「住み込みの人って普通ないですよね」
阿波野君は私の説明に首を傾げさせてきました。そのうえでこう言うのでした。
「お墓に」
「お寺の敷地内にお墓があったりするけれどね」
「その場合はともかくとしまして」
「まあ確かにあまりないわね」
「管理人さんがっていうのは」
「そうよね、このお墓地は特別ね」
言われてみればそうだと思いました。
「教祖のお墓もあるから」
「だからですか」
「そう、天理教のお墓でも特別な場所なのよ」
歴代の真柱様、それに本席様のお墓もありますし。
「ここはね」
「だからですね」
「そうした人もおられるのよ」
「そういうことですね」
「そう、じゃあまずはどなたのお墓にお参りするの?」
「いつも最初は教祖からです」
いつもときました。
「そうしてます」
「それで真柱様や本席様の」
そこには上田ナライトさんという方のお墓もあります、本席様は飯降伊蔵さんという方ですがこの方と上田さんが親神様のやしろとなられていました、教祖の後で。
「お墓もなのね」
「それと歴代の大教会長さんの」
「真面目ね」
「真面目ですか」
「てっきりお墓地で遊んでるかって思ってたわ」
「遊ぶところないですよ、お墓地には」
笑って言ってきました。
「ですからそれはないです」
「それはそうだけれど」
「じゃあまずは、ですね」
「教祖のお墓ね」
「あちらに行きましょう」
何か今回も阿波野君のペースで進んでいきます。
「二人で」
「それじゃあね」
何かまた引っかかるもの言いでした、ですが私達はお墓地の中を進んでいきました。お墓が並んでいるその中を。
教祖のお墓はかなり目立つ、お墓地の中でも中心と言っていい場所にあります。私と阿波野君は二人でそこに来てです。
一緒に階段を登って手を合わせました、それから私はすぐに階段を降りて他の場所に行こうとしたのですが。
阿波野君は立ち止まって私に言いました。
「ここから見る景色が最高ですよね」
「景色が」
「はい、もうおぢばが見渡せて」
それでというのです。
「神殿も見えますね」
「ええ、そうだけれど」
「僕この景色が好きでして」
「それでよくここに来るの」
「そうなんです、上から見た神殿もいいですね」
「このお墓地は元々見晴らしがいいからね」
私はその阿波野君にお話しました。
「お墓地
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