第三十六話 お墓地その七
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「北寮にも行ってます」
「それでお墓地にも」
「はい、じゃあ今から」
「お参りしましょう」
「先週も来たんですよ、ここ」
「あら、先週もなの」
そのことを聞いてびっくりしました、何しろ私はです。
「私最近お参りしてなかったけれど」
「そうなんですか」
「ここ、男の子の寮があるから」
その北寮を見て言います。
「近くにいると誤解されるでしょ」
「それもそうですね」
「そういうことにも気をつけないと」
そう思っています、特に先輩に言われると困ると思っていたので。
「他にも寮あるけれどね、この高校は」
「ですね、野球部と柔道部、ラグビー部で」
それぞれの部活で寮があります、どの部活も天理高校で有名な部活で全国的な活躍を見せています。優勝したこともあったりします。
「白球寮、火水風寮、勾田寮ってありますね」
「そうした寮にもね」
「女の子は近寄らない」
「変な噂が立つから」
「そうですか、僕どの寮にもお邪魔したことありますけれど」
「君何処にも行ってない?」
「面白そうな場所なら何処でも」
「全く、図々しいわよ」
またこう言ってしまいました。
「それは」
「そうですか?」
「そうよ、全く」
お口をへの字にして言いました。
「いつも思うけれど」
「そうですか」
「そうですかじゃないわよ、全く」
北寮を左に眺めながら言いました。
「何処にでも平気で上がり込むのはよくないわよ」
「誰とでも仲良くなれるんです」
「思いきり自分に都合のいい解釈と思わない?」
「そうですか?」
「そうよ、そんな性格はよくないわよ」
じっと阿波野君を見て注意しました。
「北寮の子達だって迷惑でしょ」
「招かれて行ってますよ」
「招かれてもそこは謙遜するの」
それが礼儀と思います、阿波野君のこの図々しさは何なのでしょうか。
「それで行かないの」
「それじゃあ面白くないですよ」
「面白いってものじゃないの」
「ううん、先輩は厳しいですね」
「厳しくなくて当然よ、お墓地でも図々しいことはしないの」
お墓地でどうしてそんなことが出来るのか言ってから不思議に思いましたけれどそれはそれでと言いました。
「いいわね」
「わかりました」
「返事はいいけれど」
はっきりした淀みのない返事でした。
「とにかく。いいわね」
「お墓地では礼儀正しくですね」
「そういうことよ」
北寮の横を通り過ぎてでした、私達はお墓地の敷地内に入りました。山の木々の中を登っていってです。
それから駐車場を越えてです、私達はお墓地の中に入りました。すると阿波野君は周りを見回して私に言いました。
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