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Blue Rose
第二十八話 長崎での生活その十一

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「くれぐれも」
「わかったわ」
 優花は姉に答えた。
「そうしていくわね」
「絶対にね、長崎での生活は楽しんでね」
「ええ、はじまったばかりだけれど」
 療養所を出たそれはとだ、優花はまた答えた。
「楽しいわ」
「それは何よりよ」
「色々な場所も回ってるわ」
 長崎の、というのだ。
「坂道は多いけれど景色が奇麗で」
「楽しんでるのね」
「いいことよ」
「それに坂道もね」
 長崎の代名詞となっているこれもというのだ。
「多いけれど」
「それでもなの」
「歩いていると足腰が強くなってきたかも」
「貴女運動はあまりしないからね」
「ええ、スポーツは観るけれど」 
 バスケットボールや野球等をだ、野球は阪神ファンで龍馬がしていることもあって陸上競技を観ることも好きだ。
「することはね」
「昔からしないわね」
「苦手だし」
 このことは少し苦笑いになって述べた。
「だからね」
「昔からしないわね」
「けれど歩くことは嫌いじゃないから」
「歩いてそしてね」
「長崎をね」
 その坂の多い街をだ。
「足腰を鍛えるのもいいわね」
「そうよ、鍛えてね」
「そうするわね」
 にこりと笑ってだ、優花は携帯の向こうの姉に返した。
「ここで」
「それで神戸に帰って来てね」
「八条大学を受験して」
「その為の勉強も忘れないでね」
「わかってるわ、また一緒にね」
「住みましょう、お部屋は開けてるから」
 優花の元の部屋、そこをというのだ。
「待ってるわよ」
「そうしてくれるのね」
「ここは貴女のお家よ」 
 今はいないがそれでもというのだ。
「当然のことよ」
「当然なの」
「当たり前でしょ、貴女が今の私と同じ立場でもそうしていたでしょ」
「言われてみれば」
 優子が家を離れていてもとだ、優花は答えた。
「そうしていたわ」
「そうでしょ、だからね」
「私もなのね」
「待っているわ」
 笑顔での返答だった。
「貴女をね」
「それじゃあ」
「八条大学に入ってね」
「ええ、またね」
「一緒に暮らしましょう」
「そうするのね」
「ただね」
 ここでだ、優子は優花にこうも話した。
「私もそろそろそうした年齢だから」
「姉さんひょっとして」
「ええ、結婚もね」
 これもというのだ。
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