39部分:第四話 八大公その五
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第四話 八大公その五
「しかしだ。今はエリス様の御前だぞ」
「むっ」
「よい」
エリスはここで彼等を許した。
「その方等の心意気を知ることができたのだからな」
「申し訳ありません」
「有り難き御言葉」
「してだ」
エリスは彼等の言葉を受けながら目を閉じていた。そのうえで今度はサリアに顔を向けた。この場では今まで一言も話さなかった彼に。
「サリアよ」
「はい」
「策はあるか」
「まず今聖域を襲撃しても何の意味もありません」
彼はまずはこう述べた。
「若し勝利を収めたとしてもこちらの損害は計り知れません」
「その通りだな」
「それよりも今は」
そのうえで彼はエリスに告げる。
「四闘神を復活させられるのですね」
「そのつもりだ」
「今その準備をしているが」
「それならばです」
ここでサリアは言った。
「このサリアに考えがあります」
「考えだと」
「はい」
またエリスの言葉に頷いてみせた。
「申し上げて宜しいでしょうか」
「うむ」
エリスもまた彼のその言葉に応えるのだった。
「申してみよ」
「彼等には今アテナがいません」
まずはこれを指摘するのだった。
「それはもう言うまでもないと思うが」
「そこなのです」
しかサリアはしまだそれを言うのだった。
「まだ復活の時ではありません。しかし我々は」
「アーレス様がおられるか」
「まだ復活されてはいませんが」
「アーレス様の復活を早めるというのか」
「如何にも」
彼が言うのはそれであった。
「それを考えていますが」
「どのようにしてだ」
「八つの封印です」
「封印だと」
「左様です」
今度は封印という言葉を出してきた。
「それを一つずつ解いていくことを考えています」
「アーレス様を封印していた。その様なものはない筈だ」
「いえ、違います」
サリアはいぶかしむエリスに対してまた述べた。
「確かにアーレス様は冥界においてまだ眠られております」
「そうだ」
エリスこそそれを最もよく知る者だった。アーレスの妹にして今はその兄に代わってこのアーレスの宮殿を取り仕切る者だからだ。知らない筈がなかった。
「冥界の奥深くにな」
「あの。最深部」
彼等の言葉のトーンが低くなる。
「人の中でも最悪の者達が落ち生きながら喰らわれているというあの氷の世界において」
「眠っておられる」
「そのアーレス様をこちらに御呼びするのです」
「その為の八つの封印か」
「左様です」
そういうことだった。
「そこに軍を向けましょう」
「それはわかった」
エリスは一旦はそれは認めた。
「しかしだ」
「はい。何でしょうか」
「問題はその封印だ」
彼女が言うのはそれであった。
「封印とは
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