Track 4 ともに目指す場所
活動日誌18 わんだふる ・ らっしゅ! 2 『まきりんぱな』
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全然話したことがなかったし、私もこんな性格だから……立ち去るのを隠れて見ていただけなんだけど」
「はい……」
「立ち去ったあとにチラシの前まで行ったらね? 廊下に落ちていた真姫ちゃんの生徒手帳を見つけたんだ?」
「そうなんですか?」
「うん。それで、ないと困ると思ったから職員室で住所を聞いて届けに行ったの……あっ、その帰りにお母さんにお土産買って行こうと思って立ち寄った和菓子屋さんに穂乃果ちゃんが居たんだよ?」
「……あー、あの日だったんですね? ……あの時は大変お見苦しいところをお見せして」
「う、ううん……私が訳もわからずに勝手に開けちゃったんだし……あの時はごめんね?」
「……? ねぇねぇ、雪穂ぉ? 何の話?」
「――何でも良いのっ!」
途中まで思い出話をしてくれていた花陽さんに相槌を打っていた私達だったけど、ちょうど初めて花陽さんが私の家――お姉ちゃんの家に来た日だったみたい。
思い出したように話を繋いでいたので、私はあの日を思い出して、恥ずかしくなって顔を赤らめて謝罪した。
すると、花陽さんは苦笑いを浮かべて謝罪を返してくれたのだった。
そんな2人のやり取りを聞いていた亜里沙は、私に何があったのかを訊ねてきたんだけど。
あんな恥ずかしいことを話せる訳ないじゃん!
だから強引にでも話を切り上げようとしたのだった。
まぁ、私の気迫に押されたのか――真っ赤な顔で焦って言ったから察してくれたのか。
それ以上言及されなかったんだけどね? 思い出すだけでも恥ずかしいな。
そんな私の表情を見て、優しく微笑んだ花陽さんは言葉を繋げるのだった。
「それでね? その日に真姫ちゃんの家にお邪魔して……色々話をして……穂乃果ちゃん達に会って……それで凛ちゃんと真姫ちゃんに背中を押してもらって、私は μ's に入ることが――アイドルになることができたんだよ?」
「かよちん……」
花陽さんは嬉しそうに、そして感謝の気持ちのこもった微笑みを凛さんに向けて――その後、少しだけ遠くを眺めてから、私達に話してくれた。
きっと真姫さんとお姉ちゃん達に想いを馳せていたのだろう。
そんな微笑みに、満面の笑みで返していた凛さん。
そして、そんな暖かい空気に包まれて微笑みを浮かべていた私達。
私達の知らない花陽さん達の話を聞きながら、真姫さんの家を目指して歩いていたのだった。
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