Track 4 ともに目指す場所
活動日誌18 わんだふる ・ らっしゅ! 2 『まきりんぱな』
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ているけどね?
そんな、鞄の中に立てて並べられている背表紙達の間に手を入れて、私はノートを差し込む場所を探していた。だって、このノートには入れる場所があるのだから。
指を動かして背表紙達を移動していた私の目に、少しくたびれたノートの背表紙が映りこむ。
まだ入学して1ヶ月くらいしか経っていないから、周りの教科書もノートも真新しい背表紙ばかり。その中に紛れている、くたびれた背表紙。
私は一瞬だけ、そのノートを眺めると手に持っていたノートを隣に差し込むのだった。
だけど、このくたびれたノート。実は周りの教科書やノート達よりも私と過ごしている時間は短いんだよ。
別に粗末に扱っている訳ではないんだけどね? ただ、私と一緒にいる時間が、そうさせているだけなんだよ。
私はその、くたびれたノートに「お疲れ様……今日はゆっくり休んでね?」って思いをこめた微笑みを浮かべてから――
隣に入れた新しいノートに微笑みを浮かべて鞄を閉めるのだった。
♪♪♪
校門で落ち合った私達は、花陽さんと凛さんの誘導で真姫さんの家を目指して歩いていた。
「……そう言えばさ?」
「なぁに、かよちん?」
そんな道すがら、唐突に思い出したかのように花陽さんが凛さんに声をかけていた。
花陽さんの言葉に凛さんが呼応すると――
「真姫ちゃんの生徒手帳って何処に落ちていたの?」
不思議そうな表情で、そんなことを訊ねるのだった。
その質問に対して凛さんは――
「んーとねぇ? 確か……凛達のライブのチラシが置いてあった机の下だったような……?」
「……プププッ! クククッ……あはは」
「――ど、どうしたんですか?」
記憶を呼び戻すように空を仰いで、生徒手帳が落ちていた場所を教えてくれた。
それを聞いていた花陽さんが突然、何かを思い出したように笑い出す。前触れもない笑いに驚いた涼風は、花陽さんに心配そうな表情で声をかけていた。
すると――
「あはは……あっ、ごめんね? 去年のことを思い出しちゃって……」
目尻に溜まった涙を人差し指で拭いながら、花陽さんが答えてくれたのだった。
「あのね? 実は去年の……穂乃果ちゃん達が作ったスクールアイドル募集――と言うより、最初に作ったライブ開催や名前募集にペンで訂正しただけのポスターなんだけど」
「あはははは……」
「ファーストライブが終わってからね? ちょうど去年の今頃かな? まだ私も憧れてはいたけど、踏み出す勇気がなかった頃なんだけどね。ちょうどポスターの貼られている場所の前に置かれた、募集用のチラシが置いてあった机の前にいた真姫ちゃんを見かけたことがあったの」
「はい……」
「もちろん、当時は
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