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魔術師にとって不利な世界で、俺は魔法を使い続ける
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波反響式VRマシンでも、影響の有無はずっと懸念されている。それゆえ、湊は絶対にこの問いに答える、という確信が俺にはあった。
「おっと、まだインタフェースについての説明をしていなかったか。これはどうも失礼。えー、君たちがこのゲームを購入し、ダウンロードできる環境になってから、何か宅配便にて届かなかったか?」
 確かに俺の家にも今頃希少になった、博物館にでも置いておきたい段ボール箱が――現代では安価かつ丈夫な合成樹脂が郵便用の箱として使われている――宅配便で届けられた記憶がある。その時は1つ下の妹が受け取ったために配達員自体は見ていないが。
「それになんの関係があるのよ!」
 ややハスキーな女声が響き渡る。誰も彼もが黙りこくり、湊の返答を待っている。多少なりともパニックに陥り叫びだしてもおかしくなさそうな状況だが、逆に通り越したのか、それとも現代人によく見られる感性不足か、誰も喋らない時間は耳が痛い程の沈黙が辺りを支配している。
「その中身は少し大きめのヘッドフォンではなかったか?それが新たなVRインタフェース、《ソウルコア》。先程頭部大まで縮小した、という話をしただろう?その技術を丸ごと詰め込んだのが君たちがヘッドフォンと見間違い、被って起動した次世代のゲーム機種、VRゲームの幕開け、ソウルコアによる、五感の電脳ワールドへの《アクセス》だ。」
 記憶の蓋が開いた。確かにほんの少し不格好なヘッドフォンが送られてきた。しかしその輸送側がリクターであり、新商品を届けるため一緒に使ってくれ、という旨の手紙が入っていたために、使い勝手が悪ければすぐ外せばいいか、と安直な思いで使った事が間違いだったか、と今更自分を戒める。
「君たちの容姿・体格は、ソウルコアを介してパソコンに送り込まれたウイルスによって撮影された顔写真、並びに脳に保存されている普段の体各部への重力負荷、頭部部分への大気圧の情報、その他脳内の記憶で完全に再現されている。右・左利きさえも再現している。まさしく『第二の現実』だ。そのヘッドフォンを装着しなかった者は、プログラム不良としてこのゲームが起動できていないが……。まあいい……さて!ではそろそろ、このゲームを開始しようか!」
 自身から発する音量を上げているのか、かなりの音量で手を打ち鳴らし、湊はチュートリアルの締めに入ろうとする。そこで、俺はまだ終了してはいけない、まだ聞いていない質問が浮かぶ。
 それは、俺の左隣に立つ猫背の少年の口から伝えられた。
「どうやったら脱出できるか聞いていないぞ」
 あまり大きな声ではなかったが、ここにいる大勢の人間の耳朶を強く打った。核心を突くこの問いに、既にウィンドウを開きログアウトのYes,No表示に手を掛けようとしていた――これもここがゲーム世界だということの証明に他ならないが――湊が、ゼロをチ
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